褥瘡ステージ別画像で見る分類と治療ケアの全知識

褥瘡ステージ別画像で見る分類と治療ケアの全知識

褥瘡のステージ・画像で分かる分類と正しいケア

褥瘡のステージは数字が大きいほど重症と思うかもしれませんが、表面の見た目がステージⅠでも内部では骨近くまで壊死が進んでいることがあります。


この記事の3つのポイント
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ステージ分類の基本

褥瘡はNPUAP分類によりステージⅠ〜Ⅳ(+分類不能・DTI)に分けられ、深さや組織の状態が大きく異なります。見た目だけでは正確なステージを判断できないケースもあります。

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かゆみと治癒のサイン

褥瘡のかゆみは主にステージⅠや治癒過程(上皮化)で現れます。かゆいからといって患部を掻いてしまうと、感染リスクが急激に上がります。

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消毒は「原則不要」

現在の褥瘡ガイドラインでは、消毒液の使用は「通常は必要ない」とされています。消毒が細胞にダメージを与え、かえって治癒を遅らせる場合があります。


褥瘡ステージⅠの画像と見分け方・かゆみの関係

ステージⅠは褥瘡のなかで最も早い段階で、皮膚の表面に「消退しない発赤(紅斑)」が現れる状態です。押しても白くならない赤み、これが最大の特徴です。


確認する方法は、人差し指や透明のプラスチック板で患部を3秒ほど軽く押してみること。圧を除いても白く変わらずに赤いままであれば、ステージⅠの可能性があります。


この段階では皮膚の破損はまだありません。ただし、患部に疼痛・熱感・冷感・硬さ・柔らかさなどの変化を伴うことがあり、そこにかゆみも現れやすいとされています。かゆみは要注意です。


かゆみを感じると患部を掻いてしまいがちですが、掻いてしまうと皮膚バリアが壊れて細菌感染が起きやすくなります。ステージⅠは「まだ皮膚が破れていない」最後のチャンスの段階ですから、掻かずにすぐ除圧を行うことが鉄則です。


ステージⅠの特徴まとめ:


| 項目 | 内容 |
|------|------|
| 皮膚の状態 | 消退しない発赤、皮膚の破損なし |
| 自覚症状 | 疼痛、かゆみ、熱感、冷感など |
| 対応 | 圧迫原因の除去・体位変換・専門医受診 |
| 見落としやすい点 | 肌の色素が濃い人では発赤が分かりにくい |


ステージⅠで最優先すべきは「除圧」です。体圧分散マットレスへの切り替えやクッションの活用を検討しましょう。日本褥瘡学会の認定を受けた「体圧分散用具」(エアマットレス等)は介護保険のレンタル対象品にもなっており、費用の一部が給付されることがあります。


かゆみを抑えたいときは、患部を直接掻く代わりに、医師に処方されたジメチルイソプロピルアズレン(アズノール軟膏など)のような油脂性保護外用剤で皮膚を保護する方法が推奨されています。


除圧が基本です。


日本褥瘡学会「褥瘡について」の公式解説ページ(褥瘡の見分け方・指押し法も掲載)


褥瘡ステージⅡの画像と水疱・びらんの特徴

ステージⅡになると、皮膚の表面が実際に破れた状態になります。具体的には「真皮までの部分欠損」であり、水疱(みずぶくれ)・びらん(薄皮がめくれた状態)・浅い潰瘍のいずれかの形で現れます。創底(きずの底部)が赤〜ピンク色に見え、触れるとジュクジュクした感触があります。


見た目のポイントは「赤ピンクの創底が見える浅い傷か、血清が入った水疱」です。ここで注意が必要なのは、黄色っぽい壊死組織(スラフ)が見えた場合はステージⅡには分類されません。それはステージⅢ以上を疑うサインです。


ステージⅡで最も気をつけるべきは「感染の有無」です。傷周囲の皮膚が赤く腫れる、熱を持つ、膿っぽい浸出液が出るといった症状があれば、細菌感染が始まっているサインになります。意外ですね。


この段階でも、かゆみは残ることがあります。治りかけの皮膚では神経末端が刺激されてかゆみを感じやすくなるためです。ただし、傷になっている患部は絶対に掻いてはいけません。感染が条件です。


ステージⅡで使われる主なドレッシング材:


| ドレッシング材の種類 | 特徴 |
|----------------|------|
| ハイドロコロイド | 湿潤環境を保ち、浅い潰瘍に適する |
| フィルム材(透明) | 患部を観察しながら保護できる |
| ポリウレタンフォーム | 滲出液が多いときに適する |


ステージⅡでは自己判断のみのケアは危険です。専門医に診てもらい感染の有無を確認したうえで、適切なドレッシング材を処方してもらうことが望ましいです。また、傷の治りを助けるには栄養管理も欠かせません。タンパク質とビタミンCを意識した食事が、皮膚の再生を助けます。


褥瘡ステージⅠ〜Ⅳの画像付き分類解説(快眠タイムズ)


褥瘡ステージⅢ・Ⅳの画像と壊死組織・ポケットの見方

ステージⅢになると、皮膚のすべての層(全層)が欠損し、皮下脂肪組織が見えるほどの深い傷になります。骨・腱・筋肉まではまだ露出していませんが、スラフ(黄色い壊死組織)やポケット(創縁の皮膚の下に広がる空洞)が現れることがあります。


ステージⅣはさらに深刻で、骨・腱・筋肉が露出するほどの全層組織欠損です。黒く硬い壊死組織(エスカー)がみられることも多く、骨髄炎(骨に細菌が感染する病気)を引き起こすリスクもあります。


ここで多くの人が誤解しているのは「傷が深いなら消毒しなければ」という思い込みです。しかし日本褥瘡学会のガイドライン(第4版)では、消毒は「通常は必要ない」と明確に定められています。なぜかというと、消毒液はばい菌だけでなく人間の正常細胞にも毒性を持ち、再生しようとしている組織を傷つけてしまうからです。


つまり消毒が逆効果です。


ステージⅢ・Ⅳの治療で最重要なのは以下の3点です。


- 除圧:2時間以内を目安に体位変換を行い、仙骨部(お尻の中央部)など最もかかりやすい部位の圧迫を避ける
- 洗浄:消毒ではなく、十分な量の生理食塩水または清潔な水道水でぬるま湯洗浄を行う
- デブリードマン(壊死組織の除去):壊死組織は治癒を大きく妨げるため、専門医による除去処置が必要


ポケットは特に注意が必要です。外から見た傷が小さくても、内部では皮膚の下に広い空洞が広がっていることがあります。これを見逃すと膿が溜まり感染が拡大します。ポケットを疑うときは、綿棒や細い棒でそっと創縁を触れてみることで確認できますが、必ず医師に診てもらいましょう。


仙骨部の褥瘡は全体の約40%を占め、最多の部位です(日本褥瘡学会 2006年調査)。仙骨部はちょうど鶏卵くらいの面積の骨突起があり、仰向け寝ではここに体重が集中します。


褥瘡の「DTI(深部組織損傷)」という見落とされがちな危険ステージ

褥瘡に詳しくない人がほぼ知らないのが、DTI(Deep Tissue Injury:深部組織損傷)疑いというカテゴリです。これはNPUAP分類においてステージⅠ〜Ⅳに含まれない、特別な分類です。


DTIの恐ろしさは「表面がきれいに見えるのに、骨のすぐそばまで組織が壊死している」という点です。皮膚の表面は紫色・茶褐色の変色や血疱が見られるだけで、一見するとステージⅠ程度に見えることがあります。しかし内部では、圧力が骨と皮膚の間の軟部組織(筋肉・脂肪など)に集中し、深部から先に細胞が死んでいます。


DTIが起きやすいのは殿筋(お尻の筋肉)が発達している人や肥満体型の人とされています。筋肉が厚いと表面への影響が出にくく、内部の壊死が気づかれにくくなるからです。


DTIのサインには以下があります。


- 🟣 皮膚が紫色・栗色・茶褐色に変色している
- 🩸 血疱(血が混じった水ぶくれ)がある
- 🔥 周囲と比べて熱感や硬さがある
- 🥶 逆に冷感(血流が止まっている)を感じる
- 😣 疼痛を訴える


DTIを見逃すと、最適な治療を行っても急速にステージⅢ・Ⅳへ進行することがあります。そのため、パラマウントベッドの専門資料でも「DTIの存在を理解し、少しでも兆候があればすぐに画像診断(CT・MRI・超音波)を行うことが早期発見につながる」と指摘されています。


これは使えそうです。


在宅ケアをしている家族にとっては、「皮膚が変な色に変色している」「本人が痛いと言っているが見た目は軽そう」という状況がまさにDTIの可能性があります。その際は安易に経過観察にせず、早急に訪問看護師や医師に相談することが重要です。


褥瘡の治癒過程とかゆみ・DESIGN-R評価スコアの使い方

褥瘡は一度できると、治癒するまでに以下の4段階を経ます。


1. 炎症期:細菌や壊死組織が除去される時期。発赤・熱感・腫れが起こる
2. 増殖期線維芽細胞が増えて肉芽組織が形成され、傷が内側から埋まってくる
3. 上皮化期:新しい表皮細胞が傷の縁から内側に向かって広がる
4. 再構築期(リモデリング):コラーゲンが安定し、瘢痕(傷跡)が落ち着く


このなかで「かゆみ」が最も強く現れるのは上皮化期です。新しい皮膚ができてくる過程で神経線維が再生され、その際に痒みのシグナルが脳に送られやすくなります。かゆみは治癒のサインでもあります。


ただし、かゆいからといって患部をガーゼや手で擦ると、薄くて弱い新生表皮を傷つけ、また炎症期に逆戻りしてしまいます。かゆみへの対処としては、冷やす(冷感が痒みを抑制する)・保湿剤で皮膚を保護する・医師に抗ヒスタミン系軟膏を相談するなどが有効です。


また、褥瘡の経過を客観的に把握するために日本褥瘡学会が開発したDESIGN-R®2020というスコアリングシステムがあります。評価項目はDepth(深さ)・Exudate(滲出液)・Size(大きさ)・Inflammation/Infection(炎症/感染)・Granulation(肉芽)・Necrotic tissue(壊死組織)・Pocket(ポケット)の7項目で、合計0〜66点でスコア化されます。


スコアが下がれば治癒に向かっているサインです。


DESIGN-R®の主要評価項目と意味:


| 項目 | 評価のポイント |
|------|--------------|
| D(深さ) | ステージⅠ〜DTI・判定不能を判別 |
| E(滲出液) | 交換回数で重症度を評価 |
| S(大きさ) | 長径×短径(㎝)で面積を計算 |
| I(炎症/感染) | 膿・悪臭・腫れなどの有無 |
| G(肉芽組織) | 良性肉芽の割合で回復度を確認 |
| N(壊死組織) | 黒・黄色壊死の有無 |
| P(ポケット) | 創縁下の空洞の有無 |


2020年改訂版では、「DTI疑い」と「臨界的定着疑い(3C)」が新たに追加されました。訪問看護師が定期的にこのスコアを記録することで、治療の方向性が可