

リン酸化されやすいアミノ酸を問われたら、まず「側鎖に -OH(水酸基)があるか」を思い出すのが最短ルートです。
代表格はセリン(Ser)、スレオニン/トレオニン(Thr)、チロシン(Tyr)で、これらの側鎖の水酸基がリン酸基の付加点になりやすい、という理解が暗記を安定させます。
よく使われるゴロの一例として「OH〜!センスに血が!」があり、セリン・スレオニン・チロシンをまとめて想起できます。
参考)リン酸化を受けるアミノ酸のゴロ(覚え方)|薬学ゴロ - 薬学…
このゴロが強い理由は、音の語呂だけでなく「OH(=水酸基)」を先頭に置くことで、“なぜその3つなのか”の理屈も同時に呼び起こせる点にあります。
参考)キナーゼ|タンパク質実験|【ライフサイエンス】|試薬-富士フ…
暗記をさらに盤石にするなら、次のチェックをセットにしてください。
参考)https://www.ptglab.co.jp/news/blog/tips-for-detecting-phosphoproteins-by-western-blot/
意外と落とし穴になるのが、「リン酸化=いつも活性化」と決めつけることです。リン酸化は活性化にも不活性化にも働き得る“スイッチ”で、タンパク質の構造や結合相手が変わることで機能が変化します。
このニュアンスを入れておくと、単なる暗記から「現象を説明できる知識」になり、ブログでも説得力が出ます。
リン酸化は、キナーゼ(リン酸化酵素)がATPなどのリン酸基をタンパク質へ転移することで起こる翻訳後修飾の一つです。
特にタンパク質リン酸化では、セリン・スレオニン・チロシンが標的になりやすく、側鎖の水酸基が反応点になります。
キナーゼは大きく、セリン/スレオニンキナーゼ(STK)とチロシンキナーゼ(TK)に分けて理解すると整理が早いです。
富士フイルム和光純薬の学術ページでは、プロテインキナーゼの分類や、セリン/スレオニンキナーゼが多様なシグナル伝達に関与することがまとまっており、初学者にも読みやすい構成です。
また「リン酸化は一瞬で起こる」「外からの刺激が中の反応に変換される」という感覚も重要です。例えば受容体が刺激を受けると、リン酸化の連鎖(カスケード)で“指令”が増幅され、遺伝子発現や炎症反応につながります。
この増幅があるため、皮膚のかゆみのような体感症状でも、きっかけが小さくても強い反応として現れることがあります(もちろん原因は多因子です)。
皮膚のかゆみは、皮膚バリアの乱れ・炎症・神経の過敏化が絡むことで“悪循環”になりやすい症状です。
その中で、サイトカインのシグナル伝達に出てくるJAK/STATなどの経路は、タンパク質のリン酸化によって活性が切り替わる代表例として位置づけられます。
たとえば理化学研究所の発表では、IL-31が感覚神経に作用してかゆみを起こし、受容体の下流でSTAT3の活性化がかゆみ誘導に重要であることが示されています。
参考)アトピー性皮膚炎のかゆみ伝達機序を解明
STAT3はリン酸化などの修飾を受けて働きが変わる転写因子として知られ、かゆみの“神経側の応答”にも関わるという点が、炎症だけで説明し切れないかゆみの理解に役立ちます。
参考)【第120回皮膚科学会レポート】JAK阻害剤のかゆみへの効果…
さらに、JAK阻害薬がかゆみに効果を示すことがある背景として、IL-4/IL-13/IL-31/TSLPなどが関与する慢性のかゆみで、JAK/STATシグナルが重要とされることが解説されています。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/72/8/72_1011/_pdf/-char/ja
つまり「リン酸化 アミノ酸 ゴロ」は試験対策の入り口に見えて、実は“かゆみの分子スイッチ”を読み解く入り口にもなり得る、というのがこのテーマの面白いところです。
参考:IL-31とSTAT3など、かゆみ伝達の分子機序(研究背景)
アトピー性皮膚炎のかゆみ伝達機序を解明
かゆみの体感は神経の問題に見えますが、皮膚バリアが落ちると刺激が入りやすくなり、炎症性サイトカインが増え、さらにかゆみが増幅する流れが起こり得ます。
この文脈で「リン酸化」は、炎症のオン/オフ、バリア関連タンパクの発現調整に関与するシグナルの中核として登場します。
医療系解説では、JAK阻害によりSTAT3のリン酸化抑制や皮膚バリア関連の変化(例:フィラグリン関連の所見)に触れているものがあり、「かゆみ=炎症」だけでなく「かゆみ=バリア+神経+炎症」という立体的理解を助けます。
ここで注意したいのは、ブログで薬効を断定的に書くことです。実際の治療適応や副作用、塗り薬・飲み薬の使い分けは医師判断が前提なので、記事では“仕組みの概略”に留め、セルフケアと受診目安に繋げるのが安全です。
日常でできる現実的な対策を、再現性が高い順に並べると次の通りです。
参考:難治性かゆみの発症機構や環境要因の研究トピック(TSLP/IL-31などの記載あり)
https://research-center.juntendo.ac.jp/kankyo_igaku/wp_kankyoigaku/wp-content/uploads/2020/08/S1311011.pdf
検索上位の多くは「セリン・スレオニン・チロシンをゴロで覚える」で終わりがちですが、記憶に残すには“使う場面の台本”を作るのが強いです。
おすすめは、次のように「かゆみ」を題材にして、自分の中で“学習ログ”を一本につなぐ方法です(暗記と生活課題が結びつくと忘れにくい)。
具体的には、頭の中でこの順に1行ずつ言えるようにします。
この“台本暗記”は、単語帳のバラバラ暗記よりも、説明可能な形で知識が固定されやすいのがメリットです。
さらに、ゴロをアップデートするなら「OH→S/T/Y」をセットにして、英語略号(Ser/Thr/Tyr)や1文字表記(S/T/Y)に即変換できるようにすると、試験でも論文でも迷いが減ります。
最後に、皮膚のかゆみで悩む読者向けの一言を入れるなら、「原因が一つに決められないからこそ、バリア対策(保湿・刺激回避)を土台にしつつ、必要なら医療につなぐ」のが最も損をしにくい戦略です。
ゴロは暗記の道具ですが、体の反応を理解する入り口として使うと、知識が“自分の生活を守る道具”に変わっていきます。