酸化チタンと化粧品の危険と安全性

酸化チタンと化粧品の危険と安全性

酸化チタンと化粧品の危険

この記事で押さえるポイント
🧴
危険と言われる理由を分解

「発がん性」「ナノ」「経皮吸収」「白浮き」などの話題を、暴露経路(吸入・経口・経皮)に分けて整理します。

🌬️
結論:争点は主に吸入

粉じんとして吸い込む場面(作業環境など)と、肌に塗る場面は同じ「酸化チタン」でも前提が違います。

🧠
かゆみ対策は成分名だけで決めない

かゆみ・赤みは、酸化チタン単体より「落とし方」「配合設計」「摩擦」「乾燥」「他成分」の影響が大きいことがあります。

酸化チタンと化粧品の危険が話題になる理由

 

酸化チタンが「危険」と検索されやすい大きな理由は、毒性の議論が“どこから体内に入るか”で結論が変わるのに、そこが省略されて拡散しやすいからです。
たとえば厚生労働省の資料でも、酸化チタンは「吸入による健康障害のおそれ」がある前提で、ばく露(粉じん)実態調査や作業工程におけるリスク評価が整理されています。
一方で、その枠組みは主に職業ばく露(製造・取扱い工程)を念頭に置いた議論であり、肌に塗布する化粧品の通常使用と同列に語ると誤解が起きます。
また、「ナノ=危険」という短絡が燃えやすい点も背景です。

 

参考)https://www.jcia.org/user/common/download/approach/nanomaterial/240205.pdf

日本化粧品工業会(粧工会)のナノ材料に関する資料では、酸化チタンについて遺伝毒性・吸入・経口(口腔ケア製品等)を中心に再評価の論点がまとめられており、用途や暴露経路ごとにデータの十分性が違うことが示されています。

つまり、危険性を語るなら「酸化チタンか否か」ではなく「どのグレードを、どの製品形態で、どう曝露するか」をセットで見る必要があります。

酸化チタンと化粧品の危険:吸入(粉じん)リスクの現実

「酸化チタンが発がん性分類」という話題の多くは、吸入ばく露に関する評価や動物試験由来の文脈で語られます。
厚生労働省の資料では、IARCの分類(2B)に触れつつ、ばく露実態調査で個人ばく露測定の最大値が二次評価値を上回ったケースなど、作業環境での粉じん管理が論点になっています。
ここで重要なのは、評価の中心が「空気中の粉体を吸い込む」状況であり、日焼け止めを肌に塗る状況とは前提が違う点です。
意外と見落とされがちですが、粉じんリスクは「酸化チタンだから」だけでなく、「粉体として舞いやすい工程・作業」が揃うと一気に現実味を帯びます。

 

参考)https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001412588.pdf

同資料でも、ナノ粒子の充填・袋詰め等の工程でリスクが高いと整理され、工程の様態(作業の仕方)に踏み込んでいます。

一般消費者が日常でこの状況に近づくのは、たとえばルースパウダーを大量に舞わせる、スプレーでミストを吸い込むなど“吸入が成立する使い方”をした場合なので、そこだけは注意点として切り分けて覚える価値があります。

酸化チタンと化粧品の危険:経皮吸収とナノの誤解

皮膚のかゆみに悩む人ほど「肌に塗る=体内に入るのでは」と不安になりがちですが、経皮吸収の話は“角質層より奥へ行くか”が焦点です。
日本酸化チタン工業会の資料では、ナノ酸化チタンについて、主に角質層に留まり、角質層を超えにくいことが示唆されている旨がまとめられています。
さらに「損傷した皮膚」での挙動にも触れつつ、現時点では化粧品への使用は安全に使用可能と示唆される、という整理になっています。
ただし、ここでの“安全”は「全員が絶対に刺激ゼロ」という意味ではありません。

 

参考)https://www.sankatitan.org/cms/wp-content/uploads/2022/08/2016.12ansen.pdf

かゆみ・ヒリつきは、酸化チタンの粒子そのものより、製剤全体(分散のさせ方、被膜感、乾燥、摩擦、洗浄での刺激)で起きることがあり、敏感な状態の皮膚では「刺激になりやすい条件」が揃ってしまうケースがあります。

つまり「酸化チタン入り=危険」ではなく、「自分の皮膚状態と使い方で、刺激条件を作らない」が実務的な答えになります。

酸化チタンと化粧品の危険:かゆみ体質の現場的チェック(独自視点)

検索上位では安全性の一般論(吸入と経皮の違い)で終わりがちですが、かゆみに悩む人にとっては「その製品を使ったとき、なぜかゆくなるのか」を切り分ける方が再現性があります。
酸化チタン配合の日焼け止めは「敏感肌向け」として選ばれることがある一方で、使用感として“きしみ・膜感・乾燥”を感じやすい処方もあり、結果としてこすって落とす→摩擦で悪化、のループに入る人がいます。
このタイプのかゆみは、成分の毒性というより“物理刺激+バリア低下”で起きることが多いので、チェック項目を「危険性ワード」から「運用」に寄せた方が失敗が減ります。
実務的には、次の観点で“危険”の正体を分解すると判断が早くなります。

 

  • 🧼 落とし方:専用クレンジングが必要で、洗浄力が強すぎるとバリアが荒れてかゆみが残ることがある(石けん落ち設計かも確認)。
  • 🧴 塗り直し頻度:重ね塗りで粉体感が増し、摩擦を誘発しやすい(手で強く伸ばす癖がある人は特に)。
  • 🌬️ 形状:ミスト・スプレー・ルース形状は吸入の可能性が相対的に上がる(“危険性”議論の土俵に近づく)。
  • 🧪 口周り:リップ・歯磨き等は経口の論点が出やすく、欧州で議論される中心でもある(用途別に見る)。

「意外な盲点」として、かゆみが強い人ほど“酸化チタンを避ける”より先に“塗膜を落とすときの刺激を減らす”方が改善するケースが現場では多いです。

 

参考)MIKI HOUSE

そのため、成分名でゼロイチ判断する前に、(1) かゆみが出る部位(頬・口周り・まぶた等)、(2) いつ出るか(塗布直後/夕方/洗顔後)、(3) 併用した落とし方、をメモして原因を推定すると、次に選ぶ製品の精度が上がります。

 

有用:国内外の評価・規制動向(遺伝毒性、吸入・経口・経皮の論点整理)
https://www.jcia.org/user/common/download/approach/nanomaterial/240205.pdf
有用:職業ばく露(粉じん)でのリスク評価の枠組みと測定結果(吸入が中心の議論であることが分かる)
https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001412588.pdf

 

 


吉祥 日本画用絵具 粉末絵具 チタン白 500g