

TikTokのスキンケア動画を真似して使った製品の数が多いほど、かゆみが出やすくなります。
TikTokで人気の高いスキンケアルーティン動画には、平均して6種類の製品が登場しています。ノースウェスタン大学の研究者が7歳〜18歳のTikTokクリエイター100人のルーティンを分析した結果、そこに含まれる刺激性の有効成分は平均11種類にのぼることが判明しました。かゆみが出やすくなる原因は、成分の重複にあります。
特に問題になるのが、AHA(アルファヒドロキシ酸)と呼ばれる化学的ピーリング成分の重複使用です。分析対象の動画の中には、1つのルーティンに7種類ものAHAが入っていた事例もありました。クエン酸はその一例で、全製品の約29%に含まれていたと報告されています。複数の製品に同じ有効成分が入っているとは気づかず、毎日重ねて使うことで、肌への刺激が積み重なっていくわけです。
AHAを使いすぎると皮膚の発赤・乾燥・かゆみが起こり、重度の場合は接触性皮膚炎(湿疹)に発展するリスクがあります。さらに、一度この接触皮膚炎を発症してしまうと、生涯にわたって使えるせっけんやシャンプー、化粧品の種類が制限されてしまう可能性があることが、過去の研究でも示されています。
🔴 TikTokのスキンケア動画に潜む3つのリスク
| リスク | 具体的な内容 |
|---|---|
| 成分の重複 | 複数製品に同じAHAが含まれ気づかず重ね塗り |
| 日焼け止め未使用 | AHA使用中は日光過敏になるが、動画の74%は日焼け止めなし |
| 過剰ステップ | 平均6ステップ・月約2万6,000円分の製品を使用 |
つまり製品の数が多いほど、かゆみリスクは上がるということです。かゆみをおさえたいなら、まずステップを見直すことが先決になります。
参考:ノースウェスタン大学の研究をもとにしたTikTokスキンケアの有害性レポート(Gizmodo Japan・2025年6月)
スキンケアの順番には、守るべき基本ルールがあります。「水っぽいものから油っぽいものへ」の順番に塗ることが原則です。具体的には、洗顔 → 化粧水 → 美容液 → 乳液・クリームという流れになります。この順番を崩すと、保湿成分が肌の奥まで届きにくくなり、乾燥によるかゆみが起きやすくなります。
かゆみをおさえる上で特に注目したい成分が「セラミド」と「ヘパリン類似物質」の2つです。セラミドは肌の角質層に存在し、細胞と細胞の間を埋めて水分の蒸発を防ぐ成分です。バリア機能を「補う」役割を担っています。一方でヘパリン類似物質は水分子を引き寄せて保持する保水力が高く、血行促進・抗炎症の3つの作用をあわせ持ちます。乾燥による赤み・かゆみのケアには特に向いています。
成分が重要ということですね。ただし、ヘパリン類似物質には注意点もあります。赤みやかゆみが強い炎症状態のときに使うと、血流促進作用が裏目に出て症状が悪化することがあります。炎症が強い段階では皮膚科を受診するのが安全です。
🟢 かゆみをおさえるスキンケアの基本ステップ
| ステップ | アイテム | ポイント |
|---|---|---|
| 1. 洗顔 | アミノ酸系の低刺激洗顔料 | こすらず泡で包むように |
| 2. 化粧水 | 無香料・無アルコール | すばやく補水する |
| 3. 美容液(任意) | セラミド配合 | 少量でOK |
| 4. 乳液・クリーム | ヘパリン類似物質配合 | 水分を閉じ込める |
これが基本です。TikTokで見るような10ステップを全部取り入れる必要はありません。まずはこの4ステップを2週間続けることを目標にしましょう。
参考:セラミドとヘパリン類似物質の使い分けと乾燥肌ケアへの活用(BIANCA Clinic・2025年10月)
TikTokのスキンケア動画を見ていると、美容液や化粧水を何層も重ねるシーンをよく目にします。「重ねるほど効く」という印象を持ちがちですが、これは肌にとって逆効果になる場合があります。
CeraVeの顧問皮膚科医アレクシス・グラナイトは次のように説明しています。「異なる有効成分を使いすぎたり、成分をしょっちゅう変えたりしていると、表皮のバリア機能が弱くなり、皮膚から蒸発する水分が過剰に増えてしまいます。その結果、角質層の水分含有量が減り、乾いてしまうのです」。これがかゆみの悪循環の入口です。
バリア機能の低下が条件です。バリアが崩れると、ほこりや細菌など外部の刺激物が直接肌に触れやすくなり、わずかな刺激でもかゆみや炎症が出るようになります。さらに、成分の相性問題も見落とせません。例えばビタミンCとAHAを同時に使うと、AHAの酸でビタミンCのpHバランスが不安定になり、効果を失うと同時に肌の炎症を引き起こすことがあります。
💡 重ね付けで起きやすいトラブル一覧
- ビタミンCとAHAの同時使用 → pH不安定で炎症リスク上昇
- レチノールとフィジカルスクラブの併用 → 角質を剥ぎすぎてバリア破壊
- 保湿成分の多重使用 → 角質がふやけてバリア機能が低下
成分の組み合わせには気をつけましょう。新しいアイテムを試すときは1品ずつ、最低2〜4週間の間隔をあけて追加するというルールを守るだけで、かゆみの原因特定がしやすくなります。
参考:スキンケアのしすぎが肌に与えるダメージの詳細解説(Women's Health Japan・2022年10月)
TikTokのルーティン動画を見るときに「この動画のルーティンは自分の肌に合っているか」を素早く判断する方法があります。見るべきポイントは3つに絞られます。
まず確認するのは「製品の数」です。1つのルーティンで6種類を超える製品が登場している動画は要注意です。先述のノースウェスタン大学の研究でも、月に約2万6,000円分の製品を使うルーティンが平均的とされており、製品数が多いほどかゆみリスクは増大します。
次に確認するのは「日焼け止めがあるかどうか」です。AHAなどの化学成分を使っているルーティン動画のうち、日焼け止めを含んでいたのはわずか26%だったという調査結果があります。AHAは紫外線への過敏反応を引き起こすため、日焼け止めなしで使うと色素沈着やかゆみが悪化するリスクがあります。これは見落としがちなポイントですね。
最後に確認するのは「発信者に皮膚科医の監修があるか」という点です。完璧な肌をした一般インフルエンサーのルーティンをそのまま真似することは、皮膚科的な裏付けがないまま実験を繰り返すことと同じです。TikTok上には認定皮膚科医が発信する動画もあるため、そちらを参照する習慣をつけることで、かゆみリスクのある情報を避けやすくなります。
✅ TikTokスキンケア動画のかゆみリスク判定チェックリスト
- 使用製品が5種類以下か
- 日焼け止めがルーティンに含まれているか
- 発信者に皮膚科医の監修・資格があるか
- AHAなどの酸系成分が3種類以内か
- 自分の肌タイプ(乾燥・敏感・混合)と一致しているか
これだけ覚えておけばOKです。上記5項目のうち3つ以上に✗がつく動画は、かゆみが出やすい肌にはリスクが高い内容と判断して構いません。TikTokのルーティンはあくまで「参考」として、自分の肌状態に合わせて取捨選択することが大切です。
TikTokのルーティンを見直してシンプルにしても、かゆみがおさまらない場合があります。それは肌のバリア機能がすでに大きく低下しているサインかもしれません。その状態での自己判断は禁物です。
乾燥によるかゆみは、順天堂大学の環境医学研究所によると「保湿剤を塗ることで皮膚表面に人工的な膜がつくられ、水分の蒸発を防ぎながらC線維の過敏な状態を改善できる」と説明されています。市販の保湿剤でも対応できるケースがほとんどです。ただし、かゆみが強く炎症がある時期には、まずかゆい患部を「冷たいタオルで冷やす」ことで神経の過敏反応を落ち着かせることが先決になります。
🔴 皮膚科を受診すべきかゆみのサイン
- スキンケアをやめても2週間以上かゆみが続く
- 赤み・腫れ・浸出液が出ている
- 夜間に眠れないほどかゆみが強い
- 体の広範囲に広がっている
このうち1つでもあれば皮膚科受診が必要です。特定のアレルゲン(香料・防腐剤など)による接触性皮膚炎の場合、自己判断での保湿だけでは改善せず、ステロイド外用薬などの処方が必要になることがあります。一度発症したアレルギーは生涯続くリスクがあるため、早めの対処が将来の肌の選択肢を守ることにつながります。
TikTokで流れてくる「かゆみに効くスキンケア動画」をそのまま実践する前に、まず自分の肌の状態を把握することが最優先です。乾燥なのか・アレルギーなのか・成分過多なのかによって、対応策がまったく異なります。それが分かれば、TikTokのルーティンも上手に活用できます。
参考:乾燥肌のかゆみ対策と保湿剤の効果についての医学的解説(順天堂大学 環境医学研究所)