スキンマイクロバイオームとかゆみとバリア

スキンマイクロバイオームとかゆみとバリア

スキンマイクロバイオームとかゆみ

スキンマイクロバイオームとかゆみの要点
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乱れは「かゆみの増悪」に関与

皮膚の細菌叢(常在菌)の多様性低下と黄色ブドウ球菌の増加が、皮膚炎・バリア低下・かゆみ悪化に関与すると報告されています。

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pHと洗浄は「環境づくり」

皮膚の表面環境(弱酸性・摩擦・洗浄力)は、常在菌が定着しやすい条件を左右し、結果的にかゆみの引き金を増やすことがあります。

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保湿は「バリア」と「菌の居場所」

角層バリアを整える保湿は、刺激を減らすだけでなく、皮膚表面の微小環境を安定させてマイクロバイオームの乱れを起こしにくくします。

スキンマイクロバイオームのかゆみとディスバイオーシス

 

皮膚の「スキンマイクロバイオーム」は、細菌・真菌・ウイルスなどが作る生態系で、ただ皮膚表面に付着しているだけでなく、宿主(人)との相互作用で恒常性に関わります。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/koshohin/46/2/46_460202/_pdf
この生態系のバランスが崩れる状態は「ディスバイオーシス」と呼ばれ、アトピー性皮膚炎では増悪時に細菌叢の多様性が低下し、黄色ブドウ球菌が増えることが示されています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/koshohin/46/2/46_460202/_pdf
ここで重要なのは、「かゆみ=乾燥」だけで片付けないことです。黄色ブドウ球菌が増えると、毒素や酵素などの病原因子により炎症とバリア障害が進み、炎症性のかゆみが増悪しやすいことが議論されています。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6658404/
かゆみが続く人は、次の“ループ”が起きやすいのが厄介です。

 

・かゆい → 掻く → 角層が傷つく → 水分が逃げる(バリア低下) → 刺激が入りやすい → 炎症が続く → さらにかゆい
このループの途中に、マイクロバイオームの乱れ(多様性低下・黄色ブドウ球菌優位)が重なると、「炎症の燃え方」が強くなり、セルフケアだけでは鎮まりにくい局面が出てきます。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/koshohin/46/2/46_460202/_pdf
意外と見落とされがちなのが、「目に見える湿疹が強くないのに、かゆみだけが長引く」ケースです。皮膚表面では、炎症の結果として皮膚pHが上がったり、菌叢が単調になったりして、“刺激に弱い表面環境”が固定化していることがあります。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6658404/

スキンマイクロバイオームと黄色ブドウ球菌とバリア

アトピー性皮膚炎の皮膚では、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が高頻度に定着し、病態の発症・増悪に関与することが整理されています。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6658404/
黄色ブドウ球菌が厄介なのは、単に「菌がいる」ことではなく、毒素(スーパー抗原など)・酵素・タンパク質などの病原因子で皮膚の炎症とバリア機能低下を促す点です。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6658404/
その結果、刺激が入りやすくなり、かゆみの強い炎症が維持されやすい、という構図になります。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6658404/
一方で、皮膚常在菌の側にも“守りの役割”があります。健康な皮膚では、常在菌同士の競合や、抗菌ペプチド産生などにより、病原性の強い菌が単独で増えにくい環境が作られます。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6658404/
つまり「殺菌で全部やっつける」発想に寄せすぎると、短期的にはスッキリしても、長期的には“守ってくれる側の菌”まで減ってしまい、別の形で再燃する可能性がある、という点が落とし穴になります(抗菌薬の慎重使用や、菌叢への影響が言及されています)。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6658404/
ここで、セルフチェックとして役立つ観察ポイントを置いておきます。

 

・寝る前〜夜間にかゆみが強い(掻破が増えてバリアが削れやすい)
・赤みがぶり返す周期がある(フレアの波)
・同じ部位に繰り返す(局所の環境が固定化)
・しみるスキンケアが増えた(角層が薄いサイン)
これらが重なる場合、スキンマイクロバイオーム“だけ”の問題ではなく、バリアと炎症も同時に見直す必要が出てきます。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/koshohin/46/2/46_460202/_pdf

スキンマイクロバイオームとpHと弱酸性

スキンマイクロバイオームの視点で、地味に効いてくるのが「pH」です。皮膚表面は弱酸性(pH 4.5〜5.5)に保たれている、という説明が皮膚科系の解説でも一般化しています。
https://oogaki.or.jp/hifuka/skin-care/skincare-order-rules/
この弱酸性の皮膚表面(アシッドマントル)は、バリアの一部であり、病原菌の増殖を抑え、常在菌が安定しやすい環境に関係します。
https://oogaki.or.jp/hifuka/skin-care/skincare-order-rules/
逆に、皮膚がアルカリ側に寄る状況(洗浄のしすぎ、熱いお湯、摩擦、炎症など)が続くと、菌叢のバランスが崩れやすく、刺激が入りやすい土台ができてしまいます。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6658404/
では、pHを“直接測れない”日常で何をすればいいのか。結論はシンプルで、「上げない行動」を減らすことです。

 

・洗う回数を増やしすぎない
・熱い湯を避け、ぬるめにする
・タオルでこすらず押さえる
・洗浄料はマイルド寄りを選び、短時間で流す
特にかゆみがある肌は、洗浄の刺激で一時的にスッキリしても、数時間後に乾燥と刺激で“かゆみが戻る”ことが多いので、体感で調整しやすい領域です。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6658404/
意外なポイントとして、「正解は人によって違う」も覚えておくと安全です。汗や皮脂が多い人は“落とさない”が不快感になり、結果的に掻破が増えることもあります。だから「洗浄ゼロ」ではなく、“炎症がある時期はマイルドに寄せ、落とすべき汚れは短時間で落として即保湿”が現実的です。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6658404/

スキンマイクロバイオームと保湿と洗浄

皮膚マイクロバイオームの話は、最終的に「皮膚の住環境を整える」に回収されます。皮膚はバリア臓器で、角層やタイトジャンクションなどの物理バリアがあり、ここが崩れると刺激や抗原が入りやすくなる、という整理がされています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/koshohin/46/2/46_460202/_pdf
だから、かゆみ対策で“まずやるべき”は、菌活っぽい特殊ケアよりも、洗浄・保湿・摩擦回避の土台づくりです(バリアが整うと、結果的に菌叢も安定しやすくなります)。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/koshohin/46/2/46_460202/_pdf
実践しやすい「かゆみ肌の洗浄・保湿」チェックリストを置きます。

 

✅ 洗浄
・お湯はぬるめ、長湯しない
・洗浄料は“必要な部位だけ”に使い、全身ゴシゴシを避ける
・こすらず泡(または手)で短時間、すすぎ残しを減らす
✅ 保湿
・入浴後できるだけ早く(乾く前)に塗る
・乾燥が強い部位は重ね塗りして、摩擦が起きる場所は特に厚め
・しみる日は、成分を増やすよりアイテム数を減らし、単純な保湿に戻す
この“単純化”は地味ですが、刺激の総量を減らし、掻破の誘発を抑える意味で効きます。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6658404/
さらに、少し意外な研究の話として「乳児期の保湿剤介入」があります。一般向けニュースですが、乳児集団で早期から毎日の全身保湿を開始した群は、24か月時点で医師診断のアトピー性皮膚炎の累積発症率が低かった(RR 0.84)という報告が紹介されています。
https://www.carenet.com/news/general/carenet/61217
大人のかゆみと直結はしないものの、「保湿=見た目のしっとり」ではなく、“皮膚バリアの条件を整えて、炎症の起点を減らす”という発想が、マイクロバイオームの文脈とも噛み合います。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/koshohin/46/2/46_460202/_pdf

スキンマイクロバイオームの摩擦と衣類(独自視点)

検索上位ではスキンケア成分や菌活が目立ちますが、実務的に盲点になりやすいのが「摩擦」と「衣類・寝具」です(独自視点として深掘りします)。摩擦はそれ自体が角層を削り、バリアを弱らせ、掻破と同じ方向に働きます。すると、刺激が入りやすくなり、結果的に炎症が続き、菌叢が単調になりやすい土台ができます。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/koshohin/46/2/46_460202/_pdf
すぐできる調整は「肌に当たる刺激を減らす」ことです。

 

・首、肘、膝、脛、腰回りなど“こすれやすい部位”を把握する
・縫い目が当たる服、チクチクする素材、タイトなゴムを避ける
・就寝中に掻く人は、爪を短く+薄手の手袋や長袖で物理的に掻破を減らす
・汗をかく季節は、汗の刺激(塩分)と摩擦がセットで増えるので、汗をかいたら軽く流してすぐ保湿
摩擦の対策は、スキンケアの成分を増やすより“刺激総量”を減らせることが多く、コスパが高いです。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6658404/
また、黄色ブドウ球菌が関与するタイプの炎症が疑われる場合、「肌に触れるものを清潔にする」は有効ですが、“強い除菌”へ極端に寄せないのがポイントです。抗菌で全部落とすと、皮膚側の常在菌バランスも揺れやすく、長期的には再燃の温床になる可能性があるため、やるなら衣類・タオルの交換頻度や乾燥の徹底など、生活側で調整するほうが安全に寄せられます。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6658404/
(参考リンク:皮膚常在細菌叢の役割、アトピー性皮膚炎でのディスバイオーシス、黄色ブドウ球菌増加と治療標的の概説)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/koshohin/46/2/46_460202/_pdf
(参考リンク:アトピー性皮膚炎における黄色ブドウ球菌定着、バリア障害、毒素・酵素による炎症増悪、抗菌薬やブリーチバス、マイクロバイオーム介入の整理)
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6658404/
(参考リンク:皮膚表面pHが弱酸性(4.5〜5.5)であること、アシッドマントルとマイクロバイオームの関係の解説)
https://oogaki.or.jp/hifuka/skin-care/skincare-order-rules/

 

 


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