

悪玉コレステロール(LDL)が高くなる背景には体質(遺伝)もありますが、生活習慣に起因するケースでは食事の影響が大きく、改善も食事から着手しやすいのが特徴です。特に「肉や乳製品の脂」に多い飽和脂肪酸は、適正な総エネルギー摂取量の範囲であっても摂りすぎると動脈硬化性疾患のリスクを上げ得るため、制限が推奨されています。
飽和脂肪酸が多くなりやすい食べ物の例は、バター・生クリーム・ラード・ココナッツオイル・ショートニング、そして脂身の多い肉や加工肉、菓子類などです。日常で起こりがちなのは「主菜が肉」「間食が菓子」「料理油が濃い」という重なりで、結果的に“脂の種類”が偏ります。対策は我慢というより、脂身の少ない赤身肉を選ぶ、乳製品は低脂肪に寄せるなどの“選び直し”が現実的です。
さらに見落とされやすいのが「同じ肉でも調理で脂が増える」点です。唐揚げ・とんかつ・フライなど衣と油がセットの料理は、量が普通でも脂質が跳ねやすくなります。外食や惣菜を使う場合は、揚げ物を“毎日”にしない、主菜を揚げから焼き・蒸しへ移すだけでも、飽和脂肪酸の総量を下げやすくなります。
トランス脂肪酸は、同じ「脂」でもLDLを増やす方向に働きやすいことが知られており、食事では減らすことが勧められます。マーガリンやショートニングなどの加工油脂を多く含む食品があり、栄養成分表示にトランス脂肪酸量の記載がある場合は確認するよう推奨されています。
実際に増えやすいのは、菓子パン、ケーキや洋菓子、スナック菓子、ファストフード、揚げ物の頻度が高い生活パターンです。「油は控えているつもり」でも、主食代わりに菓子パン、間食に焼き菓子、夜にファストフードという組み合わせだと、気づかないうちに“加工油脂の摂取量”が積み上がります。
対策の基本は、脂をゼロにすることではなく、加工度の高い油脂を“日常の主役”にしないことです。具体的には、朝食の菓子パンを「ごはん+みそ汁+納豆」へ、間食を「ナッツ少量」へ置き換えるだけでも、加工油脂に触れる回数そのものが減ります。
参考(トランス脂肪酸・飽和脂肪酸・コレステロールの考え方)
日本動脈硬化学会「コレステロール摂取量に関する声明」
LDL対策で効きやすいのは「悪いものを減らす」だけではなく、「良いものを増やして押し出す」発想です。緑黄色野菜を含む野菜、海藻、大豆・大豆製品などから食物繊維をしっかり摂ることは、血中脂質の改善や心血管・脳血管疾患のリスク低下と関連するとされ、食事指針でも重要な柱として扱われています。
食物繊維を増やすときの実務ポイントは、「サラダを追加」より「いつもの皿に混ぜる」です。たとえば、みそ汁にわかめやきのこを足す、納豆に刻みオクラを混ぜる、白米を五分づき米や玄米に寄せるなど、既存の献立の構造を変えない方法が続きます。さらに、野菜は1日350g以上が目安として示されており、数字で見て不足を自覚しやすいのも利点です。
意外に効くのが「汁物を味方にする」戦略です。具だくさんのスープやみそ汁は、野菜・海藻・きのこ・豆腐をまとめて入れられ、脂質を増やさず食物繊維を増やせます。減塩に配慮しつつ、だし・香辛料・酸味で満足感を作ると、脂の強いおかずに頼りにくくなります。
参考(脂質異常症の食事、飽和脂肪酸・トランス脂肪酸、野菜350g、魚、果物、ナッツ)
厚生労働省 e-ヘルスネット「脂質異常症の食事」
LDLを下げる食べ物を考えるとき、「日本食パターン」に寄せるのは実務的に強い方法です。肉を控え、米・大豆・魚・野菜・海藻・きのこ・果物などを組み合わせる食事は、血中脂質の改善と動脈硬化性疾患予防が期待できるとされています。
具体策は“置き換えの設計図”を持つことです。主菜を肉中心から魚中心へ寄せ、たんぱく源を大豆(納豆・豆腐・厚揚げ)でも確保するだけで、脂の質が変わりやすくなります。さらに、n-3系多価不飽和脂肪酸(EPA・DHA)は高トリグリセライド血症の改善や冠動脈疾患の抑制が期待され、青魚や脂の多い魚に多いとされています。
「魚は高い・面倒」という壁がある場合は、缶詰や冷凍を活用すると継続率が上がります。たとえば、さば缶を野菜と煮る、冷凍の鮭を焼いて大根おろしを添えるなど、“加工度は上げても油脂の質は悪化させにくい”選択肢を増やすのがコツです。
皮膚のかゆみを抱える人がLDLの数値を見たとき、「悪玉コレステロールが高いからかゆいのでは?」と考えがちですが、かゆみには別ルートの原因もあります。たとえば、胆汁うっ滞に基づく皮膚そう痒感が特徴となる疾患があり、かゆみが先に目立つケースがあります。胆汁にはコレステロールが含まれるため、胆汁の流れが滞る状況では脂質異常症が起こりやすくなる点も知られています。
ここが意外なポイントで、LDLが高い人ほど「かゆみ=乾燥」だけで片づけてしまい、背景の体調変化を見逃すことがあります。もし、かゆみに加えて黄疸(皮膚や白目が黄色い)、尿の色が濃い、便が白っぽい、だるさが強い、夜間に強いかゆみで眠れない、目の周りに黄色いできもの(黄色腫)などが重なる場合は、皮膚だけでなく内科的な評価が必要です。
もちろん多くのかゆみは乾燥・アレルギー・刺激性皮膚炎などが原因になり得ますが、「食べ物の改善を頑張っているのにかゆみだけ悪化する」「脂質の異常が指摘された直後から全身がかゆい」などのときは、自己判断でサプリや極端な食事制限に走る前に、医療機関で相談したほうが安全です。食事は体を整える土台ですが、かゆみの原因検索を置き去りにしないことが、結果的に最短ルートになります。
参考(かゆみと胆汁うっ滞、合併しうる高脂血症)
難病情報センター「原発性胆汁性胆管炎」

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