皮膚科看護セミナーでかゆみをおさえる最新ケア知識

皮膚科看護セミナーでかゆみをおさえる最新ケア知識

皮膚科看護セミナーで学ぶかゆみケアの知識

ステロイドを「薄く少なく」塗るほどかゆみが長引くことがあります。


この記事でわかること
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皮膚科看護セミナーとは?

日本皮膚科学会主催の「スペシャリティナース講習会」など、無料で受講できる公的セミナーの全体像がわかります。

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かゆみを悪化させないための指導知識

FTUを使った外用薬の正しい塗布量指導や、保湿タイミングなど、看護師が患者に伝えるべき実践ポイントを解説します。

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皮膚疾患ケア看護師の資格と活用法

セミナー受講が資格単位になる仕組み、審査料10,000円で取得できる皮膚疾患ケア看護師制度についてわかりやすく説明します。


皮膚科看護セミナーの種類と無料受講のしくみ

かゆみに悩む患者さんを前にして、「どこで、何を学べばいいのか」と迷う看護師は少なくありません。実は、皮膚科看護の知識を体系的に学べる公式セミナーは、国内に複数の無料ルートが存在します。


代表格は、公益社団法人 日本皮膚科学会が主催する「スペシャリティナース講習会」です。このセミナーは年1回、日本皮膚科学会総会の場で開催され、看護師を対象に皮膚科学の基礎から実践的なケア知識までを幅広くカバーしています。参加費は無料です。会場に来られない方向けにはE-Learning版も用意されており、スマートフォンやタブレットからいつでも視聴できます。


もう一つ見逃せないのが、マルホ株式会社と日本皮膚科学会皮膚疾患ケア看護師制度委員会の共催による看護師向けWEBライブセミナーです。2026年2月時点での第3回セミナーでは「アトピー性皮膚炎の最新治療戦略と看護師さんの重要な役割」などが取り上げられ、30分×2部構成で質疑応答も含まれていました。視聴無料で、後日オンデマンド配信もされます。これは使えそうです。


セミナーのラインナップをまとめると、次のようになります。


- 🏥 スペシャリティナース講習会(対面):年1回、日本皮膚科学会総会内で開催。定員400名・無料。


- 💻 E-Learning版スペシャリティナース講習会:毎年5月〜12月に配信。完全無料で自宅受講が可能。


- 📡 マルホ共催WEBライブセミナー:視聴無料。後日オンデマンドでも確認できる。


- 🖥️ マルホ オンデマンドセミナー:「アトピー性皮膚炎スキンケア指導の実際」など複数テーマを自由に閲覧可能。


無料が基本です。ただし、日本皮膚科学会総会の講演なども合わせて参加する場合、コメディカルの参加費として3,000円が別途かかるケースがあります。まず無料枠から始める、というスタンスで問題ありません。


皮膚科看護セミナーや講習会の詳細・申込み情報は公式ページで確認できます。


日本皮膚科学会|講習会・E-Learning情報(スペシャリティナース講習会)


皮膚科看護セミナーで学ぶかゆみの原因とアセスメント

かゆみは「かいてしまう」だけでなく、かいた後にさらに炎症が広がる「かゆみループ」を引き起こします。このメカニズムを看護師が正確に理解することが、患者指導の第一歩です。


かゆみループとは、皮膚に炎症が起きる → かゆくてかいてしまう → バリア機能が壊れてさらに炎症が悪化する → より強くかゆくなる、という悪循環のことです。アトピー性皮膚炎はまさにこの典型で、左右対称に湿疹が現れ、増悪と軽快を繰り返す慢性の疾患です。


皮膚科看護セミナーでは、こうしたアセスメントの視点が重点的に教えられます。セミナーで取り上げられる主なテーマには、以下のようなものがあります。


- 🔍 視診のポイント:皮疹の分布・性状・左右対称性の確認方法
- 📊 重症度評価:かゆみのスコアを数値化し、客観的に評価するツールの活用
- 🦠 真菌症との鑑別:「ただの湿疹」と思って保湿を続けると悪化するケースもある
- 👶 年齢別の注意点:乳幼児・成人・高齢者それぞれで皮膚の構造が異なり、ケアの方法も変わる


特に重要なのが年齢による違いです。加齢により皮膚の保湿機能や皮脂分泌が落ちるため、高齢者のかゆみには「老人性乾皮症皮脂欠乏性湿疹)」が背景にあることも多くあります。一方、乳幼児は皮膚が薄く外部刺激を受けやすいため、同じ「かゆみ」でも原因・対処が全く異なります。これが条件です。


アセスメントの精度を上げることは、患者が「なぜかゆいのか」を正確に見極め、適切なケアにつなげることを意味します。看護師が「かいているから薬を塗る」という反射的な対応から抜け出し、根拠のある指導ができるようになるのが、皮膚科看護セミナーの大きな価値です。


皮膚トラブルのアセスメント(視診・真菌症鑑別)に関するセミナーレポートも公開されています。



皮膚科看護セミナーで学ぶ外用薬とFTU指導の実際

かゆみ治療において、外用薬の指導は看護師の腕の見せどころです。しかし、日本のアトピー性皮膚炎患者の3割近くが「ステロイドが怖いから病院に行きたくない」と感じている現実(2017年・10歳以上1,059名対象Webアンケート調査)があります。この「ステロイド忌避」は、間違った情報が根付いてしまった結果です。


つまり、患者教育が不足するとかゆみが長引くということですね。


看護師がセミナーで必ず学ぶのが FTU(Finger-Tip Unit) という概念です。FTUとは「成人の人差し指の先端から第一関節まで薬を乗せた量(約0.5g)」を1単位とし、これで手のひら2枚分の面積をカバーできる、という塗布量の目安です。チューブタイプの軟膏であれば、5mm径の口径で指先から第一関節まで絞り出した量が1FTUになります。


具体的な塗布量の目安は次の通りです。


| 塗布部位 | 目安のFTU数 |
|---|---|
| 顔全体 | 1FTU |
| 首 | 1FTU |
| 片腕全体 | 3FTU |
| 手(両面) | 1FTU |
| 体の前面(胸〜腹) | 7FTU |
| 体の後面(背中) | 7FTU |
| 足全体(片足) | 6FTU |


全身に1回塗る場合は約20gが目安になります。これは1本50gのチューブを2〜3週間で使い切るペースに相当します。「なかなか減らない」という患者は、塗布量が不足している可能性があります。


ティッシュペーパーを肌にあてて「すぐに落ちないくらいのべたつき感」が適切な塗布量の目安、とセミナーで紹介されることも多い実践的な説明法です。意外ですね。


患者が「薄く少なく擦り込む」という誤った方法を続けると、炎症が抑えられないまま皮膚が苔癬化(ライケニフィケーション)し、かえって皮膚が厚く黒ずんでしまう悪循環に入ります。ステロイドが「皮膚を黒くする」と誤解されてきましたが、それは塗り方が間違っていたことが原因の一つです。FTUが基本です。


この指導を医師・看護師・薬剤師が何度も繰り返し行うことが、かゆみを長期的にコントロールするうえで欠かせません。


外用療法の基礎・FTUの詳細は以下の記事でも確認できます。


看護roo!|外用療法|皮膚科の治療①(FTUによる塗布量の解説あり)


皮膚科看護セミナーで学ぶスキンケア指導のコツ

外用薬を正しく使うと同時に、日常的なスキンケアの継続も、かゆみを遠ざけるための重要な柱です。スキンケアの三原則は「保清(清潔に保つ)・保湿(潤いを与える)・保護(外部刺激を避ける)」の3つです。


しかし実際の診療現場では、保湿の「やめどき」を間違える患者が非常に多いことがセミナーでも繰り返し指摘されています。湿疹が消えると「もう治った」と判断して保湿剤を使わなくなるケースが後を絶ちません。アトピー性皮膚炎の保護者へのある調査では、「医師の指示が特になかったから」という理由で保湿を中断したケースが多数報告されています。


保湿の継続が必須です。


皮膚科看護セミナーで特に強調されるスキンケア指導のポイントをまとめます。


- 🧴 保湿剤の選び方:セラミドヒアルロン酸・尿素などの成分が入ったものを患者の肌質に合わせて選ぶ
- 🛁 入浴の注意点:ぬるま湯(36〜38℃)で洗い、ナイロンタオルなどでゴシゴシこすらない
- ⏰ 塗るタイミング:入浴後10分以内に保湿剤を塗るのが最も効果的(水分が蒸発する前に封じ込める)
- 🧤 保湿剤の塗り方:擦り込まず、手のひらで軽く押さえるように伸ばす


なお、保湿剤とステロイド外用薬を両方使う場合、一般的には「保湿剤→外用薬」の順で塗るケースが多いですが、塗る面積の広い方から先に塗るというルールを基本として、医師の指示を確認することが大切です。


また、出生直後からスキンケアを行うと、将来的なアトピー性皮膚炎の発症リスクが下がるという報告もあります。スキンケアはアトピーの「治療」だけでなく「予防」でもある、という視点を患者・保護者に伝えることが、皮膚科看護師の重要な役割のひとつです。


アトピー性皮膚炎のスキンケア指導とその効果に関する研究論文(看護師向け専門誌)も参考になります。


日本看護研究学会|アトピー性皮膚炎患者へのスキンケア指導内容とその効果に関する調査(PDF)


皮膚疾患ケア看護師の資格取得とセミナー受講の戦略

皮膚科看護のスキルを「見える形」にしたいという看護師には、皮膚疾患ケア看護師制度という公的な資格があります。この制度は2018年から日本皮膚科学会が本格運用を開始したもので、皮膚科専門医と連携して高度な看護を提供できる人材の育成を目的としています。


資格取得には次の条件が必要です。


- ✅ 正看護師の資格を持っていること
- ✅ 週27時間以上の勤務実績が通算3年以上あること
- ✅ 所定の単位数を取得していること(スペシャリティナース講習会の受講が含まれる)
- ✅ 審査料 10,000円 を納めること


ポイントは、スペシャリティナース講習会(対面またはE-Learning)の受講が、そのまま資格申請の単位として認められることです。無料で受けながら、資格取得に必要な単位も同時に積める仕組みです。これは使えそうです。


ただし注意点もあります。スペシャリティナース講習会は年1回しか開催されません。一年に2回分の単位を同じ講習会で取ることはできないため、毎年計画的に受講する必要があります。また、E-Learning版は通常5月〜12月の配信期間中に完了する必要があり、期間終了後の延長も基本的には認められていません。期限があります。


2026年4月には広島リーガロイヤルホテルで「第42回日本臨床皮膚科医会総会・臨床学術大会」内でのスペシャリティナース講習会上映会も予定されており、コメディカルの参加費3,000円で受講証を取得できます。会場へのアクセスが可能な方は、この機会も検討する価値があります。


資格の有無にかかわらず、セミナー受講を習慣にすることで、かゆみに悩む患者に対してより根拠のある指導ができる看護師に成長できます。結論はスモールステップで始めることです。まず無料E-Learningを1本受講することを、今日のアクションとして設定してみてください。


皮膚疾患ケア看護師制度の申請要件・手続きの詳細はこちらから確認できます。


日本皮膚科学会|皮膚疾患ケア看護師制度 申請の手引き(PDF)