ヒアルロン酸の目薬とコンタクトのおすすめの市販の選び方

ヒアルロン酸とコンタクトの要点
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圧倒的な保水力

1gで6リットルの水を抱え込むヒアルロン酸が、乾燥した瞳を長時間潤します。

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防腐剤に注意

ソフトコンタクトは防腐剤を吸着しやすい。ベンザルコニウム塩化物フリーを選ぼう。

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装着液との使い分け

「目に入れる」目薬と「レンズに垂らす」装着液。用途を間違えると効果半減です。

ヒアルロン酸の目薬とコンタクト

コンタクトレンズユーザーにとって、目の乾燥(ドライアイ)やそれに伴う「かゆみ」「ゴロゴロ感」は日常的な悩みです。特にエアコンの効いた室内や、長時間のデスクワークでは、レンズが張り付くような不快感を感じることが多いでしょう。そこで注目されるのが「ヒアルロン酸」を配合した目薬です。ヒアルロン酸はもともと人間の体内に存在する成分で、その高い保水能力からスキンケア分野だけでなく、眼科領域でもドライアイ治療の第一選択薬として広く使われています。

 

参考)【薬剤師が厳選】目の渇き・ドライアイに おすすめの目薬9選|…

しかし、「ヒアルロン酸配合なら何でもいい」というわけではありません。コンタクトレンズ、特にソフトコンタクトレンズを装用したまま点眼する場合、目薬に含まれる「防腐剤」や「添加物」の種類によっては、レンズを変形させたり、角膜に障害を引き起こしたりするリスクがあります。市販の目薬を選ぶ際には、単に「うるおい」という言葉だけでなく、パッケージ裏面の成分表や「コンタクト対応」の表記を正しく読み解く知識が必要です。ここでは、皮膚のかゆみと同様に、デリケートな粘膜である「目」のトラブルを防ぐための専門的な知識を深掘りしていきます。

 

参考)https://asayaku.or.jp/apa/work/data/pb_1596_2.pdf

ヒアルロン酸の目薬とコンタクトの市販のおすすめの選び方

 

市販の薬局やドラッグストアには無数の目薬が並んでいますが、コンタクトレンズ装用中に使用できるヒアルロン酸配合目薬を選ぶ際の基準は非常に明確です。以下のポイントを押さえることで、トラブルを回避し、快適な視界を確保することができます。

 

  • 「すべてのコンタクトレンズ対応」の表記を確認する
    • パッケージに「ソフト・ハード・O2・使い捨て」など、すべてのタイプに対応している旨が記載されているものを選びましょう。特に「カラーコンタクトレンズ」を使用している場合は注意が必要です。一部の目薬はカラコン不可の場合があるため、「カラコン対応」の明記があるか、もしくは「防腐剤フリー」の製品を選ぶのが無難です。

      参考)【薬剤師が解説】コンタクトをつけたままでも使える目薬は?おす…

  • 「第3類医薬品」を選ぶ
    • 目薬には「第2類医薬品」と「第3類医薬品」があります。第2類には血管収縮剤などが含まれていることが多く、充血は取れますが、瞳への負担や酸素不足を招く可能性があります。日常的な乾燥対策として頻繁に使うなら、より作用が穏やかで涙に近い成分構成の「第3類医薬品」がおすすめです。
  • 人工涙液型か、高保湿型か
    • サラサラとした使い心地を好むなら「人工涙液」タイプ(ソフトサンティアなど)、しっかりとした潤い膜を作りたいなら「とろみ」のある高保湿タイプ(ヒアレインSなど)を選びます。ヒアルロン酸の濃度や製剤設計によって「点眼後の持続感」が大きく異なります。​

    参天製薬:ソフトサンティア(防腐剤無添加の人工涙液型目薬)
    防腐剤無添加でコンタクト装用中も安心して使える、最もベーシックで信頼性の高い人工涙液型目薬の情報です。

     

    ロート製薬:ロートドライエイドコンタクトa
    超・高粘度でレンズと角膜の間のクッションとなり、摩耗を防ぐコンタクト用目薬の詳細です。

     

    ヒアルロン酸の目薬とコンタクトの乾燥の効果と成分

    なぜコンタクトレンズの乾燥対策に「ヒアルロン酸」が推奨されるのでしょうか。その理由は、ヒアルロン酸ナトリウムが持つ驚異的な「物理的性質」と「生理的効果」にあります。単なる水分補給とは一線を画すそのメカニズムを理解しましょう。

     

    ヒアルロン酸の最大の特徴は「保水力」です。わずか1グラムで約6リットルもの水分を保持できると言われています。点眼薬として配合された場合、ヒアルロン酸は目の表面(角膜や結膜)およびコンタクトレンズの表面に水分を抱え込んだ状態で留まります。これにより、涙の蒸発を防ぎ、長時間にわたって潤いのヴェール(涙液層)を安定させることができるのです。

     

    参考)コンタクトレンズのつけ心地は装着液で変わる!目薬との違いやお…

    さらに重要なのが「角膜上皮の修復効果」です。乾燥したコンタクトレンズは、まばたきのたびに瞼の裏や角膜と擦れ合い、微細な傷(角膜上皮障害)を作ることがあります。これが「ゴロゴロ感」や「痛み」の正体です。医療用医薬品としても使われる精製ヒアルロン酸ナトリウムには、この傷ついた角膜上皮の修復を促進する作用が認められています。市販薬においても、同等の成分(ヒアルロン酸Na)が配合されているものを選ぶことで、乾燥による不快感だけでなく、目のダメージケアも同時に期待できるのです。

    • 水分保持作用: 涙の蒸発を抑え、レンズの乾きを防ぐ。
    • 角膜保護作用: レンズと瞳の間のクッションとなり、摩擦を軽減する。
    • 創傷治癒促進: 乾燥によって傷ついた角膜の修復を助ける。

    ヒアルロン酸の目薬とコンタクトの装着液との違い

    「目薬」とよく似た商品に「コンタクトレンズ装着液(装着薬)」があります。これらは見た目も容器もそっくりですが、使用方法と目的が決定的に異なるため、混同して使用するのは避けるべきです。ここを誤解しているユーザーが非常に多いため、明確な違いを理解しておきましょう。

     

    目薬(点眼薬)は、その名の通り「目に直接さす」ものです。乾燥や疲れを感じた時、レンズの上から点眼して水分や栄養を補給します。一方、装着液は「レンズを装着する前に、レンズそのものに垂らす」ものです。装着液には、レンズと角膜の間のクッションとなる高分子成分や、ヒアルロン酸などの保湿成分が濃厚に含まれていますが、これはあくまで「装着時の異物感を減らす」「汚れの付着を防ぐ」ための下準備アイテムです。

     

    参考)コンタクトレンズの装着液は目薬として使えない?違いと使い分け…

    項目 目薬(コンタクト用) 装着液(フィッティング液)
    使用タイミング 日中、乾燥や不快感を感じた時 朝、コンタクトレンズをつける直前
    使用場所 目に直接点眼する レンズの凹面に垂らす
    主な目的 水分補給、疲れ目ケア、充血除去 装着時のクッション、曇り止め、汚れ防止
    ヒアルロン酸 配合製品あり(保湿目的) 多くの製品に高配合(クッション目的)

    装着液を日中の目薬代わりに使用することは推奨されません。装着液は粘度が高く設計されていることが多く、直接点眼すると一過性のかすみ目を引き起こしたり、成分濃度が点眼用として最適化されていなかったりする場合があるからです。逆に、とろみのあるヒアルロン酸目薬を装着液代わりに使用することは、一部の製品では可能ですが、専用の装着液ほどの「汚れ防止効果(タンパク汚れのブロックなど)」は期待できません。朝は装着液で快適なスタートを切り、日中はヒアルロン酸目薬で潤いを追加する、という「併用」が最も効果的な乾燥対策となります。

     

    参考)302 Found

    メニコン:メニコンフィット(コンタクトレンズ装着薬)
    コンタクトレンズメーカーが開発した、ヒアルロン酸配合でレンズの汚れも防ぐ装着液の公式情報です。

     

    ヒアルロン酸の目薬とコンタクトの防腐剤の注意点

    コンタクトレンズユーザーが最も警戒すべき成分、それが「防腐剤」です。特に「ベンザルコニウム塩化物」という成分には注意が必要です。これは強力な殺菌作用を持ち、目薬の品質を保つために多くの製品に配合されていますが、コンタクトレンズ(特にソフトレンズ)との相性は最悪と言えます。

    ソフトコンタクトレンズは水分を含んで柔らかくなる素材でできており、スポンジのように涙や薬液を吸収する性質があります。ベンザルコニウム塩化物が配合された目薬を点眼すると、この防腐剤成分がレンズの内部に吸着・蓄積されてしまいます。その結果、高濃度になった防腐剤が長時間角膜に接触し続けることになり、角膜の細胞を傷つけて「点状表層角膜症」などのトラブルを引き起こす原因となるのです。また、レンズ自体を変質・変色させる恐れもあります。

     

    参考)ヒアルロン酸ナトリウム点眼液の効果・副作用を医師が解説【ドラ…

    • ソフトコンタクトレンズ: 防腐剤を吸着しやすいため、ベンザルコニウム配合の目薬は原則使用不可
    • ハードコンタクトレンズ: 水分を含まないため吸着は少ないが、近年は酸素透過性ハードレンズなど素材が多様化しており、やはり防腐剤フリーが推奨される傾向にある。
    • 使い捨て(ワンデー): 防腐剤の影響が出る前に捨ててしまうため許容される場合もあるが、角膜への安全性(セーフティ)を考えるなら避けるべき。

    最近では、防腐剤の代わりに「ホウ酸」などレンズに影響を与えにくい成分を使用したり、特殊なフィルター付き容器を採用して「防腐剤完全無添加」を実現したりしている製品が増えています(例:ソフトサンティア、ウェルウォッシュアイなど)。パッケージに「防腐剤フリー」「防腐剤無添加」と大きく書かれているものを選ぶのが、瞳の健康を守るための鉄則です。

     

    参考)https://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/sharing_case_2016_01.pdf

    日本眼科医会:コンタクトレンズと点眼薬
    眼科医の視点から、コンタクトレンズ装用時の点眼薬使用におけるリスクと防腐剤の吸着問題について解説されています。

     

    ヒアルロン酸の目薬とコンタクトの濃度の意外な盲点

    最後に、あまり語られることのない「ヒアルロン酸の粘度(とろみ)」に関する独自の視点を紹介します。一般的に「ヒアルロン酸濃度が高い=高保湿で良い」と思われがちですが、コンタクトレンズ装用時にはこの「とろみ」がデメリットになるケースがあるのです。これを理解しておかないと、「潤うはずがかえって見えにくくなった」という事態に陥ります。

     

    高濃度のヒアルロン酸や、粘度を高める添加剤(ヒドロキシエチルセルロースなど)が多く含まれている目薬は、点眼直後に目の表面に厚い膜を作ります。裸眼であればこれが保護膜として優秀なのですが、コンタクトレンズの上から使用すると、レンズの表面に不均一な液体の層ができてしまい、一時的に視界がぼやけたり(霧視)、光が乱反射して見えにくくなったりすることがあります。特に、精密な作業をしている最中や、夜間の運転中に高粘度の目薬を使用するのは危険です。

    また、非常に稀なケースですが、極端に粘度の高い液がレンズと角膜の間に滞留しすぎると、涙の自然な交換(ティア・エクスチェンジ)が阻害され、角膜への酸素供給効率がわずかに低下する可能性も指摘されています。

     

    「とにかく濃厚なものがいい」と安易に選ぶのではなく、使用シーンに合わせて選ぶことが重要です。

     

    • 仕事中・運転中: 視界をクリアに保つため、サラッとした「低粘度・人工涙液タイプ」を選ぶ。
    • 就寝前・レンズを外した後: ダメージ修復と長時間保湿のため、濃厚な「高粘度・高保湿タイプ」を選ぶ。

    このように、ヒアルロン酸の粘度を使い分けることこそが、上級者のコンタクト・アイケア術と言えるでしょう。自分のライフスタイルと目の渇き具合のバランスを見極め、最適な「粘度」を見つけてください。

     

     


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