トラニラストの効果はいつから?アレルギー・ケロイドへの作用と副作用・飲み方の期間

トラニラストの効果はいつから現れるか

トラニラストの効果と特徴
💊
抗アレルギー作用

ヒスタミンなどのアレルギー原因物質の放出を抑え、花粉症やアトピー性皮膚炎のつらい症状を和らげます。

🩹
抗線維化作用

傷跡が盛り上がるケロイドや肥厚性瘢痕の原因となる線維芽細胞の過剰な働きを抑制し、見た目を改善します。

効果発現の時期

即効性はなく、効果を実感するまで数週間〜数ヶ月かかります。継続的な服用が重要です。

トラニラストの基本的な効果とアレルギー抑制の仕組み

 

トラニラストは、第二世代の抗アレルギー薬に分類される医薬品で、主に「リザベン」という商品名で知られています 。この薬の最も基本的な働きは、アレルギー反応の引き金となる化学伝達物質(ケミカルメディエーター)が細胞から放出されるのを防ぐことです 。
具体的には、以下のような仕組みでアレルギー症状を抑制します。

 

  • 肥満細胞(マストセル)の安定化:アレルギーの原因物質(アレルゲン)が体内に入ると、肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンといった物質が放出されます 。これらが、くしゃみ、鼻水、皮膚のかゆみなどを引き起こします。トラニラストは、この肥満細胞の膜を安定させ、化学伝達物質が放出されるのをブロックします。
  • 炎症細胞の抑制好酸球や好中球といった炎症に関わる細胞の活動を抑える効果もあります 。これにより、アレルギー反応に伴う持続的な炎症を鎮めることができます。
  • サイトカイン産生の抑制:TGF-βなどのサイトカイン(細胞間の情報伝達を担うタンパク質)の産生を抑える作用も確認されています 。この作用が、後述するケロイドや肥厚性瘢痕の治療にも繋がります。

このように、トラニラストはアレルギー反応の上流で作用し、症状の根本原因を抑えるのが特徴です。そのため、すでに起きてしまった強い発作や症状をすぐに抑えるのではなく、アレルギー症状が出にくい体質へとコントロールしていく目的で使用されます 。

トラニラストの効果はいつから?花粉症や蕁麻疹での実感期間

トラニラストは、アレルギー症状を予防的に抑える薬であり、即効性を期待するものではありません。効果を実感できるまでの期間は、対象となる疾患や個人の体質によって大きく異なります。

 

📅 疾患別の効果実感までの目安

  • アレルギー性鼻炎(花粉症など):花粉が飛散し始める2週間ほど前から服用を開始することが推奨されます。効果が安定して現れるまでには、少なくとも数週間の継続服用が必要です。飲み始めることで、シーズン中のくしゃみ、鼻水、鼻づまりといった症状を軽くする効果が期待できます。
  • アトピー性皮膚炎:慢性的な皮膚の炎症とかゆみを抑える目的で使われます 。効果を実感するまでには、1ヶ月以上の継続的な服用が必要になることが多いです。ステロイド外用薬などと併用することで、症状のコントロールがしやすくなります 。
  • 気管支喘息:喘息発作を予防する目的で長期的に使用されます 。発作の頻度を減らし、気道の過敏性を改善する効果が期待されますが、効果判定には数ヶ月単位の時間が必要です。すでに起こっている発作を鎮める効果はありません 。
  • 蕁麻疹(じんましん):慢性的な蕁麻疹に対して使用されることがあります。症状が新たに出現するのを抑える効果を狙うため、こちらも数週間から1ヶ月程度の継続服用で効果を見極める必要があります。

重要なのは、効果がないと自己判断で中断せず、医師に指示された期間、きちんと服用を続けることです。

 

トラニラストの副作用は?飲み方と注意点

トラニラストは比較的安全性の高い薬とされていますが、副作用が全くないわけではありません。服用する際は、正しい用法と注意点を理解しておくことが大切です。

 

📋 主な副作用
副作用の発生頻度は全体で約5.3%と報告されています 。その多くは軽度なものです。

 

参考)トラニラスト - Wikipedia

  • 消化器症状 (0.1〜5%未満):食欲不振、吐き気、胃の不快感、腹痛、下痢、便秘などが見られることがあります 。
  • 精神神経系症状 (0.1〜5%未満):眠気、頭痛、めまいなどが報告されています 。車の運転や危険な機械の操作には注意が必要な場合があります。
  • 肝機能障害:頻度は低いですが、AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇といった肝機能値の異常が起こることがあります 。重篤な肝障害の報告もあるため、特に長期服用する場合は定期的な血液検査が推奨されます 。
  • 膀胱炎様症状・頻尿:まれに、頻尿や排尿時の痛みといった膀胱炎に似た症状が出ることがあります。このような症状が現れた場合は、すぐに医師に相談してください。
  • その他:発疹、貧血、好酸球増多、まれに緑色尿などが報告されています 。

もし副作用と思われる症状が続く場合や、生活に支障が出るほど強い場合は、速やかに処方医に相談しましょう。

 

💊 正しい飲み方と注意点

  • 用法・用量を守る:通常、成人には1回100mgを1日3回食後に経口投与します 。年齢や症状によって増減されるため、必ず医師の指示に従ってください。
  • 飲み合わせ:他の薬との飲み合わせで注意が必要な場合があります。特に、ワルファリンなど血液をサラサラにする薬を服用している方は、事前に医師や薬剤師に伝えてください。
  • 長期服用:ケロイド治療などの場合、数ヶ月から年単位での長期服用となることがあります 。その際は、定期的な診察や検査で体の状態をチェックすることが重要です。

以下のサイトでは、医薬品の添付文書情報を確認でき、副作用についてより詳細な情報が得られます。

 

副作用が疑われる場合の対処法について、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)のウェブサイトが参考になります。

 

https://www.pmda.go.jp/saikinnosikumi/file/saikin_pamph02.pdf

トラニラストが効かないと感じる理由と対処法

「トラニラストを飲んでいるのに、なかなか効果が出ない」と感じる方もいるかもしれません。その原因はいくつか考えられます。

 

🤔 効かないと感じる主な理由

  1. 服用期間が短い:前述の通り、トラニラストは効果が現れるまでに時間がかかる薬です。特にアトピー性皮膚炎やケロイドの治療では、数ヶ月単位での継続が必要です。効果が実感できないからといってすぐにやめてしまうと、十分な効果を得られません。
  2. 症状が薬の作用機序と合っていない:トラニラストは、アレルギー反応の化学伝達物質の「放出」を抑える薬です。しかし、すでに放出されてしまったヒスタミンなどの働きを直接ブロックする作用は弱いです。そのため、非常に強いアレルギー症状や、すでに出てしまっている症状を速やかに抑えるのには向いていません 。
  3. 症状の原因がアレルギーではない:かゆみや皮膚の炎症の原因はアレルギーだけではありません。感染症や他の内臓疾患、物理的な刺激などが原因の場合、トラニラストの効果は期待できません。
  4. 生活習慣の乱れや悪化要因の存在:アレルギー疾患は、ストレス、睡眠不足、食生活の乱れなどによっても悪化します。また、アレルゲン(花粉、ハウスダストなど)に暴露され続ける環境では、薬の効果が追いつかないこともあります。

💪 効かないと感じた時の対処法

  • 医師に相談する:自己判断で服用を中止したり、量を変更したりするのは絶対にやめましょう。まずは処方医に相談し、現状を正確に伝えることが重要です。
  • 他の治療法との併用を検討する:症状に応じて、抗ヒスタミン薬やステロイド外用薬・内服薬、注射療法など、他の治療法と組み合わせることで効果が高まる場合があります 。
  • 生活習慣を見直す:十分な睡眠、バランスの取れた食事、ストレス管理を心がけましょう。また、こまめな掃除でアレルゲンを減らすなど、環境整備も効果的です。

トラニラストの市販薬はない?ケロイド治療や意外な効果

「トラニラストは薬局で買えないの?」という疑問を持つ方もいますが、2025年現在、トラニラストを含有する市販薬(OTC医薬品)は販売されていません。トラニラストは医師の診断のもとで処方される医療用医薬品です 。
🏥 なぜ市販されていないのか?

  • 副作用のリスク管理が必要なため(特に肝機能障害など)。
  • 対象となる疾患(気管支喘息、ケロイドなど)が、医師による正確な診断を必要とするため。
  • 効果判定に長期間を要し、専門的な判断が求められるため。

ジェネリック医薬品(後発医薬品)は多くの製薬会社から「トラニラストカプセル100mg『会社名』」といった名称で販売されており、新薬(リザベン)よりも安価に処方してもらうことが可能です 。
✨ トラニラストの意外な効果:ケロイド・肥厚性瘢痕の治療
トラニラストは抗アレルギー薬として開発されましたが、実は傷跡の治療薬としても重要な役割を担っています。

 

  • 作用機序:傷が治る過程で、線維芽細胞という細胞がコラーゲンを過剰に産生すると、傷跡が赤く盛り上がった「肥厚性瘢痕」や、さらに大きく広がる「ケロイド」になります。トラニラストは、この線維芽細胞の増殖やコラーゲンの産生を抑制する「抗線維化作用」を持っています 。
  • 国内唯一の保険適用内服薬:現在、ケロイドおよび肥厚性瘢痕の治療薬として保険適用が認められている唯一の内服薬がトラニラストです 。かゆみや痛みといった自覚症状の改善にも効果が期待できます 。
  • 治療:手術後の傷跡予防や、できてしまったケロイドの治療(ステロイド注射やテープ剤との併用が多い)に用いられます 。効果が出るまでには、最低でも数ヶ月の服用が必要です 。

さらに近年の研究では、トラニラストに血管新生を抑制する効果があることも分かってきており、がん治療や眼科疾患(糖尿病網膜症など)への応用も期待されています 。このように、トラニラストはアレルギーだけでなく、幅広い分野でその可能性が研究されている興味深い薬なのです。
ケロイド・肥厚性瘢痕の治療について、順天堂大学医学部附属順天堂医院の形成外科のページで詳しく解説されています。

 

https://hosp.juntendo.ac.jp/clinic/department/keisei/disease.html/disease03.html

 

 


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