

かゆみで毎晩眠れない状態が続いているのに、患者会は「重症者向け」だと思って避けていませんか。実は年会費3,000円以下で入れる患者会が全国にあり、無料で参加できる勉強会も開催されています。
「かゆみはたいしたことない」と思われがちですが、数字を見ると印象はまったく変わります。アトピー性皮膚炎の患者を対象にした調査によると、55%の患者がかゆみによって睡眠に影響を受けており、そのうち9.2%は週に5日以上、睡眠を妨げられていると回答しています。週5日以上といえば、平日ほぼ毎日まともに眠れない計算です。
眠れないことが続くと何が起きるか。厚生労働省の研究では、アトピー性皮膚炎のために「仕事量や内容を制限されることが時々以上ある」と答えた人が34.8%、さらに「仕事を辞めたことがある」という人が13.7%いることが明らかになっています。10人に1人以上が仕事を手放した経験を持つということです。
かゆみで生産性が落ちることも見逃せません。
かゆみを伴う皮膚疾患の患者さんの労働生産性を調べたデータでは、皮膚のかゆみによって労働生産性が約40%低下するという報告があります。仕事への集中力が半分以下になる感覚に近いでしょう。こうした現実を踏まえると、かゆみを「ただ我慢する問題」として放置するのは得策ではありません。
治療情報を積極的に取りにいく姿勢が、かゆみの長期改善につながります。
その入り口として患者会の一覧を使うことは、非常に実用的な選択肢のひとつです。一人で情報を集めるよりも、同じ経験をもつ患者さんや専門医と直接つながれる場があります。次のセクションでは、患者会の具体的な活動と全国の一覧を紹介します。
アトピー性皮膚炎患者さんの生活への影響についての詳しいデータはこちらも参考になります。
止まらぬかゆみ、見た目への偏見で暮らしに影響を及ぼす「アトピー性皮膚炎」。患者が抱える困難とは? | 日本財団ジャーナル
アトピーやアレルギー疾患向けの患者会は、全国にいくつか主要な団体があります。どの団体も「同じ病気で悩む人同士がつながれる場」という点では共通していますが、活動の規模や内容はさまざまです。
まず代表的なのが「認定NPO法人 日本アレルギー友の会」です。1969年(昭和44年)設立という長い歴史を持ち、気管支喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患に対してセルフコントロールのための情報提供や、患者同士のピアカウンセリングを行っています。東京都江東区に事務局があり、火曜・土曜の11〜16時に相談受付を行っています。
次に「NPO法人 日本アトピー協会」は1995年の阪神淡路大震災支援活動をきっかけに設立された団体です。通信紙「あとぴいなう」の発行や相談業務のほか、推薦品の認証マーク発行、災害時のレスキューパック(保湿剤・敏感肌用せっけん・肌着などの詰め合わせ)送付といったユニークな支援活動が特徴的です。大阪市中央区に事務局を置き、月・火・木・金の10〜16時に相談対応しています。
「NPO法人 相模原アレルギーの会」は1990年発足で、神奈川県在住者だけでなく、アレルギー疾患を持つ患者・家族なら誰でも入会できる点が特徴です。毎月第4火曜日に横浜市神奈川区のセルフヘルプ相談室で無料相談を開催しています。
「NPO法人 アレルギーを考える母の会」は横浜発の団体で、アレルギー疾患を持つ子どもの保護者に加え、学校や周囲の関係者への啓発活動も重点的に行っています。子どものかゆみに悩む保護者にとって心強い存在です。
これらの団体に共通しているのは、医師には相談しにくい「日常生活のちょっとした悩み」を話せる場所を提供していることです。つまり、患者会は「治療以外の場所でのサポート拠点」としての役割が大きいということですね。
日本アレルギー協会がまとめた患者会一覧はこちらで確認できます。
患者会について | 公益財団法人 日本アレルギー協会(JAANet)
乾癬(かんせん)は全身の皮膚に赤みと厚い皮膚のはがれ、そしてかゆみが繰り返し現れる皮膚疾患で、患者数は日本国内に推定で数十万人いるとされています。この乾癬の患者会は全国に20以上の地域団体が存在しており、患者会一覧の中でも特に充実したネットワークを持っています。
主な乾癬系患者会の一覧は以下の通りです。
| 地域 | 会の名称 | 活動内容の特徴 |
|---|---|---|
| 北海道 | 乾癬の会(陽だまり) | 年3回会報発行・豊富温泉湯治ツアー開催 |
| 東北(岩手) | いわて乾癬友の会(イーハトーブの会) | 岩手医科大学皮膚科学講座と連携 |
| 関東(群馬) | 群馬乾癬友の会(からっ風の会) | 女性限定ランチ会・LINEグループ交流あり |
| 東京 | NPO法人 東京乾癬の会(P-PAT) | 年2回のフォーラム・ウィメンズセミナー開催、年会費3,000円 |
| 神奈川 | 神奈川乾癬友の会 | 横浜市立大学附属病院皮膚科が事務局 |
| 近畿(大阪) | 大阪乾癬患者友の会(梯の会) | 年3〜4回会報「プソリアニュース」発行 |
| 九州(福岡) | ふくおか乾癬友の会(空の会) | 久留米大学医学部・日野皮フ科医院が指導母体 |
| 九州(鹿児島) | 鹿児島乾癬患者会(KAPPA) | 鹿児島大学医学部皮膚科が指導母体 |
重要なのは、患者会の名前に地域名が入っていても「その地域の人しか入れない」わけではないという点です。全国どこからでも入会が可能な会が多く、入会しなくても参加できる勉強会を開催している会もあります。距離が遠くて通えない場合でも、会報の郵送や電話・メール相談を活用できる会もあります。
各乾癬患者会の詳しい連絡先と活動内容の一覧はこちらで確認できます。
患者会を選ぶとき、「自分の住んでいる県の会に入ればいい」と考える人が多いですが、じつはそれだけで決めてしまうと後悔しやすいポイントがあります。かゆみの原因となる疾患によって、患者会の専門性やカバーしている情報の深さが大きく異なるからです。
たとえば、アトピー性皮膚炎のかゆみと乾癬のかゆみでは、メカニズムが異なります。
アトピー性皮膚炎の場合は「免疫の過剰反応+皮膚バリア機能の低下」が主な原因で、保湿ケアや抗ヒスタミン薬の使い方、新しい生物学的製剤(デュピルマブなど)の情報が特に重要です。一方、乾癬の場合は「皮膚細胞の異常増殖+慢性炎症」が原因で、照射療法や免疫抑制薬、TNF阻害薬などの情報が核心になります。
患者会が提供している情報が自分の疾患に特化しているかどうかを確認するのが大切です。
疾患別の主な患者会の選び方をまとめると次のようになります。
また、参加スタイルで選ぶことも大切ですね。
対面のイベントに積極的に参加したい人は年2〜4回の学習懇談会を開催する会が向いています。一方、まず情報収集から始めたい人は会報誌の発行が充実している会や、メール相談を受け付けている会を選ぶと負担が少なくて済みます。「話を聞いてもらえる場所があるだけでうれしい」という声がある通り、患者会に連絡するだけでも心理的な支えになります。
患者会に関心を持っても、「何を相談すればいいのかわからない」「いきなり電話するのは緊張する」という方も多いです。そんな場合のためにも、段階的な活用ステップがあります。
ステップ1:まずウェブサイトや会報を閲覧する
多くの患者会は公式ウェブサイトや会報のバックナンバーを無料公開しています。東京乾癬の会(P-PAT)の機関紙「P-PATレター」や、大阪乾癬患者友の会の「プソリアニュース」などは、専門医の講演内容、新薬情報、患者の体験談をわかりやすくまとめた内容になっています。
これを読むだけでも、自分が知らなかった治療選択肢や生活の工夫が見つかることがあります。まず読むだけでOKです。
ステップ2:無料の勉強会・市民公開講座に参加する
患者会の多くは、会員でなくても参加できる勉強会を年1〜2回開催しています。乾癬の場合は「世界乾癬デー(10月29日)」や「いい皮膚の日(11月12日)」に合わせたイベントが各地で開催されることが多く、専門医の最新治療の話を直接聞く機会があります。
入会前に雰囲気を確かめる場として活用できます。
ステップ3:入会して会報・ピアカウンセリングを活用する
入会するとより深い情報にアクセスできます。東京乾癬の会(P-PAT)の年会費は3,000円です。大阪乾癬患者友の会も年会費3,000円で、非会員でも参加費1回分で学習会に参加できます。
なかでも注目したいのが「ピアカウンセリング(患者同士の相談)」です。群馬乾癬友の会(からっ風の会)は電話によるピアカウンセリングを実施しており、他地域の患者さんでも相談が可能です。医師に言いにくいかゆみの詳細な症状や、日常生活の工夫を気軽に話せる場として非常に価値があります。
ステップ4:専門医へのつなぎとして活用する
日本アトピー協会では、相談者の希望に応じて専門医がいる医療機関を紹介するサービスも行っています。「近くの皮膚科では対応してもらえなかった」「新しい治療を試してみたいが相談先がない」という状況に対して、患者会は医療機関とのパイプ役になり得ます。かゆみが改善しない場合の次の一手として覚えておいてください。
全国の乾癬患者会の詳細な連絡先一覧は以下で確認できます。
全国乾癬患者会の一覧と活動内容 | 日本乾癬患者連合会(JPA)