

副作用が出てからフォリアミンを飲んでも、タイミングを間違えるとMTXの効果ごと打ち消して悪化させます。
関節リウマチの治療でメトトレキサート(MTX)を処方されたとき、多くの方が「副作用はいつ頃から出るのだろう」と不安に感じます。結論から言うと、副作用には大きく「短期で出るもの」と「長期服用で出るもの」の2種類があり、それぞれ出現時期がまったく異なります。
軽度の副作用として代表的な口内炎・倦怠感・食欲不振・下痢などは、内服してから1日前後で現れることが多いとされています。つまり毎週薬を飲んだ翌日あたりに「なんとなくだるい」「胃がムカムカする」という症状を感じた場合、それはメトトレキサートの副作用と考えられます。これが短期型の副作用です。
一方、肝機能障害や血球減少(白血球・赤血球・血小板が減る)は、なかなか症状として自覚しにくく、定期的な血液検査(1〜3ヶ月ごと)によって初めて発見されることがほとんどです。症状が出ないからといって安心してはいけません。
特に注意が必要なのが、増量・開始後の最初の1ヶ月です。この時期は消化器症状(口内炎・下痢・食欲不振)が特に出やすいとされており、身体の変化に敏感になっておく必要があります。服用量が増えるほど副作用の発現頻度も上がるため、増量したタイミングは必ず体調を記録するようにしましょう。
かゆみ・発疹などの皮膚症状はアレルギー反応として現れることがあり、この場合は原則としてメトトレキサートを中止する判断が必要です。服用してすぐに皮膚にかゆみを感じた場合は、自己判断で我慢せず、速やかに主治医へ連絡することが大切です。
副作用の時期を知ることが、対処の第一歩です。
参考:日本リウマチ学会 患者向け資料(メトトレキサート服用の基本情報)
https://www.ryumachi-jp.com/pdf/mtx.pdf
メトトレキサートの副作用は、軽度・中等度・重篤の3段階で整理すると理解しやすくなります。軽い副作用は自己対処できる場合もありますが、重篤な副作用は生命に関わることがあるため、区別して知っておくことが非常に重要です。
【軽度の副作用】
【中等度の副作用】
【重篤な副作用】
このように副作用の種類は多岐にわたります。これが基本です。自覚できる症状(口内炎・吐き気・かゆみ・発熱・咳)はすぐに医師へ相談する習慣を持ちましょう。定期的な血液検査で発見できる副作用は、症状がなくても検査を受け続けることが唯一の早期発見手段です。
参考:宇多野病院(国立病院機構)メトトレキサートの副作用と対処法
https://utano.hosp.go.jp/section/13_06.html
メトトレキサートの副作用の中で特に警戒すべきなのが間質性肺炎(MTX肺炎)です。「量が少なければ大丈夫」と思っている方も多いですが、これは正しくありません。
日本呼吸器学会の薬剤性肺障害の診断・治療の手引き(2013年)によれば、MTX肺炎の発症は75%が服用開始半年以内に集中していることが報告されています。つまり治療を始めて最初の半年が最もリスクの高い時期です。
さらに注目すべきは「用量に依存しない」という点です。週4mgという低用量でも発症しうるため、「まだ増量していないから安心」という油断は禁物です。痛いですね。
間質性肺炎の主な症状は以下の通りです。
これらの症状が出たら、すぐに服用を中止し医療機関を受診することが原則です。間質性肺炎は一度線維化が進むと元には戻りにくいため、早期発見が非常に重要になります。中等症以上になるとステロイド治療(プレドニン30mg/日以上)が必要になることもあります。
また、リスクが高い条件として「60歳以上」「既存の肺疾患がある」「低アルブミン血症」「糖尿病」が挙げられています。これらに当てはまる方は特に、服用開始後半年は日常的に自分の咳や息切れに注意を払いましょう。早期発見が条件です。
なお、服用開始前に胸部レントゲン・胸部CT・血清KL-6値の検査が推奨されています。これらの検査結果を手元に把握しておくことで、異変が起きたときに「以前と何が変わったか」を比較できる基準になります。
参考:亀田総合病院 呼吸器内科「メトトレキサートによる肺障害」
https://www.kameda.com/pr/pulmonary_medicine/methotrexate_mtx.html
メトトレキサートの副作用を和らげる方法として「フォリアミン(葉酸製剤)」を一緒に処方されることが多いですが、この飲み方を間違えると思わぬデメリットが生じます。
フォリアミンはメトトレキサートと同じ日に飲んではいけません。葉酸はメトトレキサートが抑えようとしている物質そのものであるため、同日に飲むとMTXの治療効果を相殺してしまう可能性があります。つまり副作用だけ取ろうとして薬の効き目ごと消してしまう、という本末転倒の事態になりかねません。
正しい服用タイミングは「MTX最終服用から24〜48時間後」です。たとえば木曜日にメトトレキサートを飲んだなら、フォリアミンは土曜日に飲む、というスケジュールが一般的です。このタイミングであれば、MTXの治療効果を維持しつつ、副作用リスクを軽減できることが臨床的に確認されています。
なお、副作用の程度によってフォリアミンの量は調整されます。
注意が必要なのは市販のサプリメントや青汁に含まれる葉酸です。「健康のために飲んでいる」という患者さんが多いですが、それがメトトレキサートの効果を知らないうちに弱めてしまっている場合があります。これは使えそうです。MTXを服用中は、葉酸を含む健康食品・サプリメントの使用について必ず主治医に相談してください。
また、フォリアミンで軽減できる副作用は「口内炎・消化器症状・骨髄抑制・肝機能障害」などの葉酸欠乏性のものに限られます。間質性肺炎やアレルギー性の皮膚症状(かゆみ・発疹)はフォリアミンでは予防できないため、これらが出た場合は別途医師の判断が必要です。
参考:湯川リウマチ内科クリニック「メトトレキサート服用の注意点」
https://yukawa-clinic.jp/knowledge/treatment/mtx_important-point.html
かゆみをはじめとする副作用が実際に現れたとき、どう対応すれば良いのか分からず焦る方は少なくありません。ここでは副作用の種類別に、対処の流れを整理します。
🔴 すぐに服用中止+即受診が必要な症状
これらが出た場合は、フォリアミンの服用は継続したまま、メトトレキサートのみを中止して速やかに医療機関へ連絡してください。
🟡 主治医に相談しながら対処できる症状
メトトレキサートをすぐに止めてしまうと、リウマチが再燃するリスクがあります。軽度の副作用であれば、フォリアミンの調整やサポート薬の追加で継続できることも多いため、自己判断で中止する前に必ず相談しましょう。それが条件です。
副作用対処の選択肢として、吐き気が主な場合は内服から注射(メトジェクト:皮下注射製剤)への変更が有効な場合があります。注射は消化管を経由しないため、胃腸への直接的な負担が減り、吐き気が改善するケースが報告されています。
さらに、MTXを減量しても症状のコントロールが難しくなった場合は、生物学的製剤(エタネルセプト等)やJAK阻害薬への切り替えも選択肢に入ります。リウマチ専門医に相談し、自分の病状と副作用のバランスを見極めることが最善です。
参考:佐藤内科クリニック「メトトレキサート(リウマトレックス)で吐き気、脱毛、口内炎?」
https://sato-naika.org/blog/medical-treatment/r_1218/