

「アレルギー科」と書かれた看板の病院に行っても、担当医師の約7割はアレルギー学会の専門医資格を持っていません。
かゆみが続くとき、多くの人はまず「皮膚科」か「アレルギー科」を思い浮かべます。しかし実際には、かゆみの症状によって最適な受診先は大きく異なります。これを知らないまま受診先を選ぶと、時間も診察費も無駄になりかねません。
皮膚に赤みや湿疹・蕁麻疹(じんましん)が出ている場合は、皮膚科が第一選択です。皮膚科では、アトピー性皮膚炎・接触皮膚炎・蕁麻疹などの診断と治療を行います。目に見える皮膚症状がメインなら迷わず皮膚科へ行きましょう。
目のかゆみや充血が主な症状なら眼科、くしゃみや鼻水・鼻づまりが中心なら耳鼻咽喉科が適切です。これらの症状に対してアレルギー科を最初に選ぶ人も多いですが、症状の部位に合わせた専門科の方が診察・処置の精度が高い場合があります。
では「アレルギー科」はどんなときに使うのでしょうか? アレルギー科は、複数の症状を同時に抱えていたり、原因がわからない重症のアレルギー疾患に対応するための診療科です。日本アレルギー学会によると、アレルギー科の医師は内科・皮膚科・耳鼻科・眼科などさまざまなバックグラウンドを持つ専門医が担当します。つまり「アレルギー科」は単独の科というより、複数の専門が集まった窓口といえます。
| 主な症状 | おすすめの受診先 |
|---|---|
| 皮膚のかゆみ・湿疹・蕁麻疹 | 皮膚科(第一選択) |
| 目のかゆみ・充血・目やに | 眼科 |
| くしゃみ・鼻水・鼻づまり | 耳鼻咽喉科 |
| 複数症状・重症・原因不明 | アレルギー科(専門医) |
| 子どものアレルギー全般 | 小児科 |
| かかりつけがある・どこに行くか迷う | 内科(まず相談) |
症状の部位と種類が条件です。まずここを整理してから受診先を決めましょう。
参考:症状別の受診先について詳しく解説されています。
アレルギーが出たら何科を受診する?アレルギー検査はどこで受けられる?|ふくろうの森クリニック
近くにアレルギー科を掲げた病院があっても、それだけでは安心できません。驚くべきことに、ある大規模調査(厚生労働省委託・国立成育医療研究センター、2014年)によると、「アレルギー科」と標榜している医療機関でも、アレルギー学会専門医の資格を持つ医師がいるのは回答医師全体のわずか30%でした。残り70%は非専門医だったのです。
しかも同調査では、アレルギー性鼻炎の患者の約70%が「かかりつけ医が専門医かどうかわからない」と回答しています。意外ですね。看板に「アレルギー科」と書かれているだけでは、専門的な治療が受けられるかどうかわかりません。
では、専門医のいる病院を効率よく探すにはどうすればよいでしょうか。最も確実なのは、日本アレルギー学会が運営する「アレルギーポータル」を使う方法です。このサイトでは郵便番号やエリアで、アレルギー専門医のいる医療機関を無料で検索できます。
ポータルサイトで「アレルギー専門医在籍」の表示がある医療機関を候補にするのが基本です。また、初診前に電話で「日本アレルギー学会の専門医はいますか?」と確認するだけで、受診前に判断できます。これは遠慮なく聞いてOKです。
参考:アレルギー専門医の在籍医療機関を全国で検索できます。
医療機関情報・専門医検索|アレルギーポータル(厚生労働省委託事業)
「アレルギー検査はお金がかかりそう」と思って受診をためらっている方も多いかもしれません。実際の費用はどのくらいでしょうか?
最もよく使われるのは血液検査(特異的IgE検査)です。採血一回でアレルゲン(アレルギーの原因物質)を調べられます。保険適用の場合、1項目あたり約330円(3割負担)で、最大13項目まで一度に検査できます。13項目すべて検査した場合で約4,290円です。名刺1枚くらいの出費で、かゆみの原因候補を絞れるということです。
さらに多くの項目をまとめて調べたい場合は、View39(39項目)という検査もあります。こちらも保険適用で3割負担なら約4,800〜6,000円程度が目安です。食物・花粉・環境アレルゲンを幅広くカバーしており、一度に原因を特定しやすいのが特徴です。
| 検査の種類 | 検査項目数 | 費用目安(3割負担) |
|---|---|---|
| 特異的IgE検査(個別選択) | 1〜13項目 | 330円〜4,290円 |
| View39(セット検査) | 39項目 | 約4,800〜6,000円 |
| 皮膚プリックテスト | 複数 | 病院により異なる |
| 自費検査(219項目など) | 最大219項目 | 約2万円以上(保険外) |
注意点が一つあります。保険診療では、一度の採血で検査できるのは原則13項目までという上限があります。これが条件です。それ以上を一度に調べたい場合は、View39のようなセット検査や自費診療を選ぶことになります。担当医師に「何を調べるべきか」を相談してから検査を選ぶのが最も無駄のない方法です。
参考:アレルギー検査の費用・種類・保険適用条件が詳しく解説されています。
アレルギー検査の費用と種類について|ひまわり内科・皮膚科クリニック
これが最も見落とされがちな落とし穴です。かゆみが長く続いているのに皮膚科でいくら調べても原因が見つからない場合、じつは内臓の病気がサインを出している可能性があります。
具体的には、腎臓の機能低下・肝臓疾患・甲状腺異常・糖尿病・鉄欠乏性貧血などが、全身のかゆみとして皮膚に現れることがあります。特に腎機能が低下すると、体内に老廃物が蓄積して皮膚の神経が過敏になり、湿疹がほとんどないのに強いかゆみが生じます。肝臓病では、胆汁に含まれる「胆汁酸」が血液中に逆流・皮膚に蓄積して、体中にかゆみが出ることが知られています。
このタイプのかゆみは、抗アレルギー薬や保湿剤では改善しません。皮膚科で「異常なし」と言われても症状が続く場合、内科での血液検査(肝機能・腎機能・血糖値など)を受けることが必要です。
上記に当てはまる場合は内科受診が条件です。アレルギー科・皮膚科と並行して、内科的な原因も除外する必要があります。かゆみを「アレルギーだろう」と思い込んで皮膚科だけに通い続けると、内臓疾患の発見が遅れるリスクがあります。
参考:かゆみと内臓疾患の関係について分かりやすく解説されています。
皮膚科に行っても治らない全身のかゆみ、止まらない原因とは|寄岡クリニック(大阪)
初めてアレルギー科や皮膚科を受診するとき、「何を持っていけばいいのか」「何を聞かれるのか」と不安になる方も多いものです。事前に準備しておくことで、診察がスムーズになり、的確な治療を受けやすくなります。
当日に持参すべき基本の持ち物は次の通りです。
問診では主に「症状はいつから始まったか」「どの部位にどんなかゆみがあるか」「食べたものや触れたもの・使った化粧品など思い当たる原因があるか」「家族にアレルギーの方はいるか」「現在服用中の薬はあるか」などが確認されます。
特に重要なのが症状の写真です。かゆみや蕁麻疹は受診当日には出ていないことも多く、写真がなければ医師が正確に判断できないケースがあります。スマートフォンで症状が出たときに撮影しておくと非常に役立ちます。これは必須と言えます。
受診後の流れとしては、問診→視診(皮膚の確認)→必要に応じて血液検査→処方・指導という順が一般的です。検査結果が出るまでに1〜2週間かかる場合もあります。再診予約を同時に取っておくとスムーズです。
また、近年はオンライン診療(遠隔診療)に対応するアレルギー科・皮膚科も増えています。症状が軽い場合や、近くに専門医のいる病院が少ない地域では、オンライン診療という選択肢も検討に値します。EPARKやcuronなどのプラットフォームで「アレルギー科・オンライン診療」で検索すると、対応医療機関を確認できます。