

ケロイドテープを毎日貼っているのに、赤みだけが一向に消えない。
ケロイドや肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)の治療に使われる「ケロイドテープ」とは、ステロイド成分を含んだ貼り薬のことを指します。代表的な製品として、弱いステロイド(フルドロキシコルチド)を含む<strong>ドレニゾンテープ®と、強いステロイド(デプロドンプロピオン酸エステル)を含むエクラープラスター®の2種類があります。なお、ドレニゾンテープ®は2023年夏に販売中止となったため、現在は主にエクラープラスター®が処方されています。
これらのテープは単なる絆創膏とは異なり、貼ることで薬剤が持続的に皮膚に浸透し、ケロイド内部の炎症や線維増殖を抑える仕組みです。同じステロイド外用剤でも、テープ型は密封包帯療法(ODT)の効果を常時発揮するため、塗り薬より薬剤の浸透量が安定しているという大きな特長があります。
また、広い意味での「ケロイドテープ」として、ステロイドを含まないシリコーンテープやサージカルテープも使われます。これらは薬剤成分ではなく、傷跡への物理的な張力を緩和することで、ケロイドや肥厚性瘢痕の発生・悪化を予防する役割を担います。症状の程度と目的に応じて使い分けるのが基本です。
ケロイドは傷あとの範囲を超えて赤く盛り上がり、肥厚性瘢痕は傷あとの範囲内にとどまる点で異なりますが、どちらも痛みとかゆみを伴う点は共通しています。治療の第一選択として、日本の「ケロイド・肥厚性瘢痕 診断・治療指針 2018」でも成人・小児ともにステロイドテープ剤が推奨されています。
📘 ケロイド・肥厚性瘢痕に対するステロイドテープ剤の使い方(日本医科大学 小川令先生監修)
ケロイドテープの効果は、大きく分けると「①かゆみの軽減 → ②痛みの改善 → ③硬さの軟化・平坦化」という順番で現れます。これは重要な知識です。
まず最初にかゆみが楽になり、続いて触れたときの痛みが和らぎ、最後に盛り上がりが平らになっていきます。この順番を知っておくと、「まだ形は変わらないけれど確実に効いている」という実感が持ちやすくなります。
ただし、ここで多くの人が誤解している点があります。ケロイドテープは赤みには効果がほぼないという事実です。かゆみや硬さが改善しても赤みが残ることは珍しくなく、赤みの解消には別の治療(Vビームレーザーなど)が必要になる場合があります。赤みだけが残っているのにテープを貼り続けると、今度は毛細血管拡張や皮膚の菲薄化という副作用が出てくるため注意が必要です。
また、感染によって化膿しているケロイドや、拘縮(ひきつれ)が非常に強いケースでは、そもそもテープが適応外となることもあります。つまり、ケロイドテープはあくまでも「炎症コントロール」の手段であり、外科的治療が必要な状態には対応できません。
かゆみをなんとかしたいという方にとっては、テープを貼ることでかゆみが数週間〜数ヶ月で軽減されることが多く、結果として夜に搔きむしって炎症が悪化する悪循環を断ち切れます。かゆみ対策という目的だけでも、早期からの使用には大きな健康上のメリットがあります。
📘 エクラープラスター(ステロイド貼付剤)の効果と使用方法(きずときずあとのクリニック豊洲)
正しい使い方を守ることが、ケロイドテープの効果を最大限に引き出す条件です。
貼る前の準備として、まず患部を石けんで洗浄し、水分をしっかり拭き取って乾燥させます。テープはケロイド・瘢痕の大きさに合わせてハサミでカットして貼るのが基本です。正常な皮膚まで覆うようにはみ出して貼ると、その部分の皮膚が萎縮したり赤黒くなったりする副作用が起きやすくなります。
貼付時間の目安は1日12時間以上で、理想的には就寝中も含め12〜24時間の貼付が推奨されています。ただし24時間貼り続けるとかぶれのリスクが高まるため、入浴のタイミングで毎日交換するのが現実的で安全な方法です。
剥がし方が非常に重要です。乾いた皮膚を勢いよく剥がすと、角質層ごと剥ぎ取ってしまい、皮膚にダメージを与えます。お風呂の中でお湯をかけながらゆっくり剥がすのが最善の方法で、これだけで皮膚トラブルのリスクを大幅に下げることができます。
継続期間については、最低でも3ヶ月は必ず続けることが必要です。症状が改善してきた場合も含め、治療指針では以下の目安が示されています。
| 段階 | 使用期間の目安 | 状態 |
|---|---|---|
| 第1段階 | 3〜6ヶ月 | 効果の確認・継続判断 |
| 第2段階 | さらに1〜2年 | 改善確認後も継続 |
| 終了基準 | 触っても判別できない状態 | 徐々に貼付時間を短縮 |
途中で治療をやめてしまうと、完全に鎮静化していない炎症が再燃しやすくなります。これが基本です。気持ちが折れそうになりますが、「1〜2年は続ける」という覚悟が最終的な完治を左右します。
ケロイドテープは長期使用が前提であるだけに、副作用への対処法を知っておくことが健康上の大きなメリットになります。
主な副作用は以下の通りです。
刺激性のかぶれが出た場合は、貼る頻度を「1日貼って2日空ける」サイクルに変えることで改善するケースがあります。一方でアレルギー性のかぶれが起きた場合は、そのステロイド成分自体への反応なので、テープの使用を中止してステロイド軟膏など別の外用剤に切り替える必要があります。
皮膚の薄い部分(顔や首周り)や小児にテープを使う場合は特に注意が必要です。小児は皮膚が薄く薬剤が浸透しやすいため、弱いステロイドのテープから開始します。妊娠中または妊娠の可能性がある方は、大量・長期・広範囲の使用を避けることが添付文書でも明記されています。
かゆみに悩んでいる方は特に、「かぶれ」のかゆみと「ケロイド自体」のかゆみを混同しないことが重要です。テープを貼り始めてかゆみが増した場合、それはケロイドの炎症ではなくテープによるかぶれの可能性があります。すぐに使用を中断し、皮膚科または形成外科に相談するのが無難です。
📘 ステロイドテープ剤を使用する際の注意点(日本医科大学 小川令先生監修)
ケロイドテープで一定の改善はできても、症状が強い・範囲が広い・テープだけでは追いつかないというケースは珍しくありません。そのような場合に知っておくと、見逃せない選択肢があります。
まず最も多く併用されるのがステロイド(ケナコルト®)の局所注射です。テープと比べて即効性が高く、1〜3ヶ月に1度の注射でテープの効果を維持・強化できます。硬く盛り上がったケロイドに直接注射するため痛みを伴いますが、「普段はテープ、症状が強い部分は注射」という組み合わせが専門医の間では標準的です。
次に、かゆみを内側から抑えるトラニラスト(リザベン®)の内服があります。これは抗アレルギー薬であり、ケロイド組織内の炎症細胞が放出する化学伝達物質を抑えることで、かゆみや痛みを軽減します。保険適用の内服薬として長く使われていますが、増大傾向のあるケロイドには単独では効果不十分なため、テープや注射との併用が前提です。
また、テープかぶれしやすい方や、薬剤以外の方法でケアしたい方向けにシリコーンジェルシートやシリコーンテープがあります。これらは張力を物理的に緩和するだけでなく、保湿効果もあり、特に術後の傷跡予防には有効です。シリコーンジェルシートは繰り返し洗って再使用できる製品もあり、長期コストを抑えたい方に向いています。
さらに、かゆみが夜間に特に強い場合は、引っ搔きによる悪化を防ぐことが最優先の課題になります。アイシークリニックなどの形成外科でも「かゆみを感じても患部をかくと炎症が悪化するため、冷やすか処方された内服薬・外用薬で対処する」ことを強く推奨しています。就寝前にテープをしっかり貼っておくこと自体が、無意識の搔き傷を防ぐ物理的バリアとして機能します。これは使えそうです。
長年放置してきた重症例でも、Vビームレーザーとステロイド注射を組み合わせることで4年後に赤みが完全に消えたという症例報告もあります(東京のケロイド専門クリニック報告)。完治への道のりは長くても、複数の治療を組み合わせることで着実に改善できます。
📘 目立つきずあと〜ケロイドと肥厚性瘢痕〜(関東労災病院 形成外科)

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