

ヒルドイドを入浴後10分超えてから塗ると、入浴前より肌が乾燥してしまいます。
ヒルドイドには4種類の剤形がありますが、その中でも「ソフト軟膏」と「クリーム」は見た目が似ていて混同されやすいです。しかし、中身の構造はまったく異なります。
ヒルドイドソフト軟膏は「油中水型(W/O型)」といって、油分の中に水分が閉じ込められたタイプです。対してヒルドイドクリームは「水中油型(O/W型)」で、水分の中に油分が入った構造です。この違いが、保湿力や使い心地に直結しています。
| 種類 | 乳化型 | 保湿力 | べたつき | 水への強さ |
|---|---|---|---|---|
| ヒルドイドソフト軟膏 | 油中水型(W/O) | ⭐⭐⭐⭐ | やや強め | 流れにくい |
| ヒルドイドクリーム | 水中油型(O/W) | ⭐⭐⭐ | 比較的さっぱり | 流れやすい |
油がベースのソフト軟膏は肌への密着性が高く、水で洗い流されにくい性質があります。これはたとえば「食品用ラップで皮膚を覆う」ようなイメージで、外気から肌をしっかり守ります。一方クリームは大部分が水のため、汗や水で比較的落ちやすいです。
つまり保湿力で選ぶならソフト軟膏が基本です。
ただし、ソフト軟膏はその分べたつきが強く、素肌にとっては重いと感じる人も少なくありません。乾燥によるかゆみの程度や使用する季節・部位によって、どちらが自分に合っているかは変わります。これは使えそうですね。
有効成分であるヘパリン類似物質はどちらにも0.3%含まれており、「薬としての効力」は同じです。違いはあくまでも「基剤(薬を届けるための土台)」の性質です。
ヒルドイドはマルホ株式会社が製造する処方薬で、1940年代から長年使われてきた実績のある保湿剤です。
参考:ヒルドイドの剤形と保湿効果の詳細について(綾瀬皮フ科クリニック 石川智之医師)
ヒルドイド(ヘパリン類似物質)について|綾瀬皮フ科クリニック
ヒルドイドがかゆみに効くのは、単に「皮膚を潤すだけ」ではありません。効果は大きく4つあります。
かゆみの多くは「皮膚の乾燥→バリア機能の低下→炎症の発生」という流れで起きます。ヒルドイドはこの流れを複数の経路から断ち切れるのが強みです。
保湿だけでなく、抗炎症作用も持つ点が重要です。
市販の保湿クリームとヒルドイドが根本的に違うのは、この多面的な作用にあります。ドラッグストアで売られているヘパリン類似物質を含む市販薬(ヘパリーナなど)も同成分ですが、処方されるヒルドイドの浸透度や配合バランスとは若干異なる場合があります。市販薬のヘパリン類似物質は濃度0.3%のものと低濃度のものがあるため、医師に相談のうえ適切な製品を選ぶのが確実です。
参考:ヒルドイドの4つの効果と仕組みについて
ヒルドイドの正しい使い方とは|日比谷ヒフ科クリニック
ヒルドイドを使っているのにかゆみが改善しない人の多くは、使用量が不足しています。正しい量を知ることが、効果を出す第一歩です。
保湿剤の量の目安として「1FTU(フィンガーチップユニット)」という基準があります。チューブ入りのヒルドイドソフト軟膏・クリームなら、成人の人差し指の先端から第一関節まで薬を絞り出した量が1FTUで、約0.5gです。この量で手のひら2枚分(大体A4用紙1枚ほどの面積)に塗ることができます。
部位ごとに必要な量の目安は以下のとおりです。
塗り方も重要です。肌にすりこむのではなく、やさしく「なじませる」ようにして伸ばします。塗布後に肌がテカッと光り、ティッシュが軽く貼り付く程度が適量の目安です。強くこすってしまうと、摩擦で肌のバリア機能がさらに低下し、かゆみが悪化するリスクがあります。
こすらず伸ばすのが原則です。
もう一つ重要なのがタイミングです。入浴後は肌の水分量が高まっていますが、何もしなければ10分を過ぎると入浴前よりも肌の水分量が低下するという研究データがあります。入浴後5〜10分以内に塗るのが最も効果的です。着替えを後回しにしてでも、まず塗ることを優先しましょう。
1日の使用回数は1〜数回が推奨されており、1回より2回の方が保湿効果は高いとされています。特に手のひらや肘など擦れやすい部位は2回以上が望ましいです。
参考:FTU(フィンガーチップユニット)と塗布タイミングの解説
ヒルドイドの効果的な塗り方と適量(FTU)|沖縄赤十字病院皮膚科関連
ソフト軟膏とクリームのどちらを選ぶかは、季節・部位・肌の状態の3つで決まります。
季節でいえば、冬や乾燥が強い時期にはソフト軟膏が向いています。かかとや肘、膝など角質が厚く皮脂が少ない部位も同様です。これらの場所はいくら保湿しても水分が逃げやすく、油分の多いソフト軟膏で「フタをする」効果が重要になります。
夏場や汗をかきやすい時期はクリームの方が使い勝手が良いです。ソフト軟膏は汗をかくとベタベタが気になることが多く、続けにくくなります。その点クリームはさっぱりとした使用感で、洗い流されやすいデメリットを差し引いても継続しやすい利点があります。継続できることが重要です。
部位別の目安をまとめると、次のようになります。
また、季節の変わり目にはソフト軟膏かクリームかを使い分けることもできます。乾燥がひどい時期はソフト軟膏、湿気が増えてきたらクリームへ切り替えるのが、かゆみを通年抑えるコツです。
製薬会社マルホのサイトでは「朝の忙しい時間はフォームやローション、時間があるときはソフト軟膏」という時間帯での使い分けも紹介されています。生活リズムに合わせて柔軟に選ぶのが、無理なく続けられる秘訣です。
参考:季節・時間帯・部位ごとのヒルドイド使い分けの公式ガイド
ヒルドイド製品タイプ別の使い分け例|マルホ患者向けWEBサイト(公式)
ヒルドイドは安全性が高く、乳幼児にも使用できます。ただし薬である以上、使ってはいけない状況と注意すべき副作用があります。
まず使用禁忌として、血友病・血小板減少症・紫斑病などの出血性血液疾患がある方は使用できません。また傷口やただれた皮膚、目の周りへの塗布も禁止されています。ヘパリン類似物質は血行促進作用があるため、傷口に塗ると出血が助長されるリスクがあります。傷が完全に閉じてから使うのが基本です。
血液をサラサラにする薬(血液凝固抑制剤)を服用中の方も、事前に医師へ申し出る必要があります。
副作用で最も多いのは皮膚炎・かゆみ・赤み・発疹で、発生率は0.1〜5%未満と低いものの、全くないわけではありません。初めて使用する際は、腕の内側など狭い面積に塗って異常が出ないか1〜2日確認することをおすすめします。
また、ヒルドイドフォームはLPG(液化石油ガス)を使用した可燃性製品のため、火気の近くや40℃以上になる場所での使用・保管は厳禁です。夏の車内に放置するのも危険です。これは注意が必要ですね。
副作用が出たらすぐ使用を中止してください。
2024年10月からヒルドイドは「長期収載品」に指定されたため、先発品を選ぶ場合は選定療養費が別途かかるようになりました。3割負担で100g処方した場合の総費用は2,000円程度ですが、先発品を選ぶとさらに上乗せされます。ジェネリック(ヘパリン類似物質油性クリームなど)を選べば費用を1/3〜1/4程度に抑えられることを覚えておくと、長期使用の負担が減ります。
参考:ヒルドイドの副作用・禁忌・使用上の注意事項(医薬品情報)
ヒルドイドソフト軟膏0.3%くすりのしおり|医薬品情報協議会(公式)

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