

梅雨は花粉が飛ばないと思っていると、かゆみが2倍以上になることがあります。
カモガヤの花粉が飛び始めるのは毎年4月下旬〜5月ごろです。飛散のピークは5月中旬〜6月下旬で、その後も8月ごろまで飛散が続きます。つまり、「スギ花粉が終わった安心感」がいちばん危ない瞬間ともいえます。
スギ花粉とカモガヤ花粉のもっとも大きな違いは、飛散距離です。スギ花粉は強風に乗ると60〜80kmもの距離を移動しますが、カモガヤ花粉の飛散距離はわずか約200m程度。はがき1枚の横幅が10cmとすれば、200mはそのおよそ2,000枚分です。遠くの山からとばされてくるスギ花粉とは異なり、カモガヤは「すぐそば」に生えているものが原因になります。
関東地方では、カモガヤを含むイネ科花粉は5〜6月に1回目のピーク、8月後半〜10月前半に2回目のピークを迎えます。二段構えで症状がぶり返す点が、このアレルギーのやっかいなところです。二度目のピークが条件です。
また、カモガヤ花粉症の方は、カモガヤ以外のイネ科植物(オオアワガエリ・ハルガヤ・ネズミホソムギなど)にも同時に反応しやすいため、実際の症状が出る期間は「5月〜10月」と長期化するケースがあります。
| 項目 | カモガヤ花粉 | スギ花粉 |
|---|---|---|
| 飛散ピーク | 5月中旬〜6月下旬 | 2月〜4月 |
| 飛散距離 | 約200m程度 | 60〜80km以上 |
| 主な生育場所 | 河川敷・公園・道路脇・空き地 | 山地・人工林 |
| 舌下免疫療法 | 現時点で日本未承認 | スギ花粉は承認済み |
参考:カモガヤ花粉の飛散距離や時期について詳しい情報が掲載されています。
カモガヤ花粉による主な症状は、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみ・充血・喉のかゆみです。これに加えて、皮膚にかゆみや赤みが出る「花粉皮膚炎」が起こることも珍しくありません。
症状が出るメカニズムはこうです。呼吸によって吸い込んだカモガヤ花粉が気道の粘膜に付着すると、免疫系がこれを「異物」と認識して過剰に反応します。その結果、ヒスタミンなどの化学物質が放出され、かゆみや炎症が引き起こされます。かゆいのは身体の防御反応です。
スギ花粉症と症状はよく似ていますが、カモガヤの時期は気温が高い初夏〜夏であることが違います。汗をかいて肌のバリア機能が低下しやすい季節でもあるため、顔や首まわりの皮膚症状が出やすくなります。花粉皮膚炎への注意も必要です。
また、カモガヤ花粉症で見落とされがちな症状として「咳」があります。花粉が気道を刺激することで、夏風邪と間違えやすい乾いた咳が出ることがあります。夏場に原因不明の咳が続く場合は、カモガヤを疑う価値があります。
「夏風邪が長引いている」と感じているなら、それはカモガヤが原因かもしれません。特に毎年5月〜8月に同じような症状が繰り返される場合は、耳鼻咽喉科やアレルギー科での血液検査(View39など)で確認するのが早道です。
参考:カモガヤ花粉症の症状や、アレルギー検査の方法が詳しくまとめられています。
カモガヤ花粉症の方が見落としやすい重要なポイントがあります。それは「口腔アレルギー症候群(OAS)」です。
口腔アレルギー症候群とは、カモガヤなどイネ科花粉のアレルゲンと、特定の果物・野菜に含まれるタンパク質の構造が似ているために起こる現象です。身体が「これも花粉と同じだ」と勘違いして反応してしまいます。交差反応ということですね。
イネ科花粉症の方が反応しやすい食べ物は以下の通りです。
症状としては、食べた直後から口唇・舌・のどの奥にかゆみ・しびれ・腫れが現れます。多くは口の中だけで収まりますが、まれにアナフィラキシー(全身のアレルギー反応)に発展するケースもあるため、軽視はできません。
夏のバーベキューでスイカを食べたら口がかゆくなった、という経験のある方はいませんか。それはカモガヤ花粉症のサインかもしれないということです。なお、これらの食品を加熱すると原因タンパク質が変性するため、症状が出にくくなるケースもあります。生のまま食べる際は特に注意が必要です。
参考:イネ科花粉と口腔アレルギー症候群(OAS)の関係、交差反応を示す食物の一覧が掲載されています。
「雨が降れば花粉は流れる」と思って外出時の対策をやめてしまうのは、大きなリスクをはらんでいます。これが、冒頭の「梅雨は花粉が飛ばない」という思い込みの落とし穴です。
雨の日は確かに飛散量が減ります。しかし、雨上がりに晴れた日は話が変わります。雨の日に地面に落ちた大量の花粉が、乾燥した風に乗って一気に再飛散するためです。ウェザーニュースのデータによると、雨の翌日に晴れると花粉の飛散量は通常の20倍以上に達することもあります。「雨の翌日の晴れた日こそ最も危ない」が原則です。
カモガヤの飛散シーズンである5〜7月は梅雨の時期とも重なっています。雨が多いからといって気を抜いてしまい、雨上がりにノーガードで河川敷を歩いてしまう——このパターンでかゆみが爆発する方が非常に多いです。
さらに、1日の中でもカモガヤ花粉が多く飛ぶ時間帯があります。気温が上がる11時〜14時ごろと、気温が下がる夕方〜夜にかけてが飛散のピーク時間帯です。この時間帯に河川敷の近くを通るのは避けるか、しっかり対策してから行動しましょう。
参考:雨の翌日に花粉飛散量が最大20倍になるメカニズムが図解で解説されています。
雨の翌日に晴れると花粉の飛散量は20倍にも|ウェザーニュース
カモガヤ花粉への対策は、スギ花粉と少し異なります。飛散距離が約200mと短いため、「生えている場所に近づかない」という回避戦略が非常に有効です。これが基本です。
① カモガヤが生えている場所を把握・回避する
カモガヤは道路脇・公園・河川敷・空き地・住宅の庭など、身近な場所に広く自生しています。通勤・通学経路に河川敷や公園があるなら、花粉の多い時期だけでもルートを変えることを検討してください。飛散距離200m以内に入らないことが最大の防御になります。
自宅の庭にカモガヤが生えている場合は、花が咲く前(4月中に)草刈りをしておくのが効果的です。草刈りをする際はマスク・手袋・帽子で完全防備してから行いましょう。
② マスク・保護メガネを正しく着用する
マスクは花粉を99%以上カットできる高性能タイプが安心です。普通の不織布マスクでもある程度の効果はありますが、鼻・頬との隙間から花粉が入り込みやすいため、顔にフィットするものを選ぶことがポイントです。目のかゆみが気になる方には、花粉専用の保護メガネが効果的です。
③ 帰宅後すぐに花粉を落とす
衣服に付いた花粉は、玄関前で払い落としてから入室します。帰宅後は速やかに手洗い・洗顔・うがいを行い、できればシャワーで髪や全身を洗い流しましょう。これだけで室内への花粉の持ち込みを大幅に減らせます。
④ 薬の選び方に注意する
かゆみを抑えるための内服薬として、第二世代の抗ヒスタミン薬(アレグラFX・クラリチンEX・アレジオンなど)が市販でも入手できます。しかし、旧来の第一世代抗ヒスタミン薬は眠気が非常に強く、服用後の車の運転が法的にも問題になるケースがあります。薬の選択は薬剤師や医師に必ず相談しましょう。
⑤ 皮膚のかゆみにはスキンケアも並行する
花粉皮膚炎によるかゆみには、肌のバリア機能を高めることが重要です。外出前に保湿クリームを塗布して花粉が直接肌に付きにくくし、帰宅後はやさしく洗顔して花粉を除去します。かいてしまうと炎症が広がり、症状が悪化するため、かゆい部分は冷やすことで一時的にかゆみを抑えましょう。改善しない場合は皮膚科への受診が必要です。
参考:カモガヤ花粉症の症状を抑えるための具体的な対策が詳しく解説されています。
カモガヤ(イネ科)花粉症の時期・症状。辛い症状を抑える対策も紹介|ナフィアスコラム
これは検索上位記事にはほとんど取り上げられていない視点ですが、カモガヤ花粉症の方に特に知っておいてほしい落とし穴があります。それは「ペットの餌」です。
カモガヤはイネ科植物であり、その英名は「オーチャードグラス(Orchard Grass)」といいます。実はこのカモガヤは牧草として古くから利用されており、ウサギ・モルモット・ハムスターなどの小動物向けのペットフードに「チモシー(牧草)」や「オーチャードグラス」という名前で広く使われています。
つまり、カモガヤ花粉症の方がウサギやモルモットを飼っていて、毎日餌のチモシーを取り扱っている場合、室内にいながら常にアレルゲンに晒されている可能性があります。室外の花粉を避けても、自宅で毎日症状が出るケースがこれにあたります。
「花粉シーズンが終わっても鼻水が止まらない」「室内にいるのに目がかゆい」という方は、ペットの餌を疑ってみることも重要です。対策としては、餌やりの際はマスクと手袋を着用する、餌が飛び散らない容器を使う、ペレット状の餌に替えるといった方法が有効です。それだけで室内のアレルゲン量を減らせます。
なお、ペットを飼い始めてから花粉症のような症状が出始めた場合は、ペットの毛ではなく「餌」が原因である可能性があります。かかりつけのアレルギー科や耳鼻咽喉科で相談するとよいでしょう。
参考:カモガヤ(オーチャードグラス)と小動物の餌の関係、具体的な対策が記載されています。
カモガヤ(イネ科)花粉症の時期・症状。辛い症状を抑える対策も紹介|ナフィアスコラム