

毎日アイスを食べているのに、それがかゆみを悪化させているかもしれません。
カラギーナンとは、紅藻類(こうそうるい)と呼ばれる赤い海藻から抽出される天然の多糖類です。食品添加物として「増粘剤」「ゲル化剤」「安定剤」の役割を果たし、アイスクリームやプリン、乳飲料、ドレッシングなど、実にさまざまな加工食品に使われています。
「天然由来の海藻成分だから安全」というイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし、近年はその毒性や発がん性をめぐる議論が活発になっており、単純に「安全」と言い切れない側面もあることがわかっています。
カラギーナンが注目を集めるようになった直接のきっかけのひとつは、げっ歯類を使った動物実験の結果です。カラギーナンを皮下注射したラットやモルモットに炎症(カラゲニン浮腫)が生じることが古くから知られており、この反応は現在でも炎症研究の標準モデルとして使用されています。炎症を起こすほどの作用を持つ物質が、毎日口にする食品に入っているという事実は、決して軽視できない点です。
つまり「炎症反応の研究モデルとして使われる物質」ということですね。
さらに、国際がん研究機関(IARC)はカラギーナンの分解物(ポリゴナン)をグループ2B、すなわち「ヒトに対して発がん性の疑いがある」に分類しています。一方、食品に使われる未分解型カラギーナンはグループ3(ヒトへの発がん性は不明)であり、両者の評価は異なります。この「分解型」と「未分解型」の違いが、カラギーナンの毒性を理解する上でもっとも重要なポイントです。
Wikipedia「カラギーナン」:IARCの発がん性分類や動物実験の詳細、FAO/WHO(JECFA)による安全評価の経緯が確認できます。
カラギーナンの安全性を語る上で、絶対に外せないのが「分解型」と「未分解型」の区別です。この違いを知らずに「カラギーナンは安全」または「危険」と一刀両断してしまうのは、大きな誤りにつながります。
未分解型カラギーナン(食品に使われるもの)は分子量が大きく、消化管でほとんど吸収されません。食物繊維の一種として腸を素通りするため、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)は2001年の第57回会議で1日摂取許容量を「特定せず」、つまり毒性リスクは事実上ゼロとみなしてよいと結論づけています。これは、塩分や糖分よりも摂取制限が緩いレベルです。
一方、分解型カラギーナン(ポリゴナン)は分子量が小さく、腸内に吸収されやすい性質を持っています。動物実験では、経口投与によってモルモットやウサギに潰瘍性大腸炎や結腸がんを誘発することが報告されており、日本生協連が厚生労働省へ提出した資料でもその起炎作用が指摘されています。分解型は食品添加物としての使用が認められていません。
ここが肝心な部分です。食品に入っているのは未分解型ですが、胃の強い酸性環境にさらされることで、一部が分解型へと変化する可能性がゼロではないという指摘もあります。体質や胃酸の強さによって個人差があるため、腸に持病がある方や消化器系が弱い方は特に注意が必要です。
分解型かどうかが条件です。
食品安全委員会(内閣府):カラギナンの安全性評価に関する国際的な審査結果(遺伝毒性・発がん性の評価)が掲載されています。
かゆみで悩んでいる方にとって、腸との関係は見逃せません。
近年の研究で、腸内環境の乱れと皮膚のかゆみ・アレルギー症状には深いつながりがあることが明らかになってきました。腸内フローラのバランスが崩れると免疫システムが過剰反応しやすくなり、アトピー性皮膚炎や慢性的なじんましん、湿疹の悪化につながるとされています。
カラギーナンはこの腸内環境に対して、炎症を引き起こす可能性が研究で指摘されています。2024年に国際的な学術誌に掲載された報告でも、食品添加物であるカラギーナン(E407)が動物において慢性炎症性腸疾患、潰瘍、血糖値の上昇を引き起こす可能性があることが示されました。腸壁が炎症を起こすと「リーキーガット症候群」と呼ばれる状態になりやすく、本来は腸の中にとどまるべき未消化物や異物が血流に漏れ出してしまいます。これが全身性の免疫反応を引き起こし、皮膚のかゆみとして現れる仕組みです。
腸の炎症が皮膚に出る、これが本質です。
また、カラギーナンが腸内細菌のバランスを乱すという研究も出ています。善玉菌が減り悪玉菌が増えた状態では、腸管バリア機能が低下してアレルゲンが体内に入り込みやすくなります。かゆみが「なかなか治らない」と感じている場合、毎日摂取している加工食品に含まれるカラギーナンが、腸を通じてかゆみを慢性化させている可能性があります。
Bibgraph(PubMed要約):カラギーナンとカルボキシメチルセルロースが腸の炎症発生に関与するというPubMed収録の研究要約が確認できます。
かゆみを抑えたいなら、まず「どの食品にカラギーナンが入っているか」を把握することが最初の一歩です。
カラギーナンは非常に幅広い食品に使われています。代表的なものは、アイスクリーム(使用量は0.01〜0.03%程度)、プリンやゼリー、チョコレートドリンク、コーヒー飲料、ヨーグルトなどの乳製品、ドレッシング、ソース、冷凍食品、缶詰、ハムやソーセージなどの食肉製品です。アーモンドミルクや豆乳にも含まれることが多く、「健康的」と思って選んだ植物性ミルクにカラギーナンが入っているケースも少なくありません。
これは意外ですね。
食品ラベルでの見分け方については、知っておくべき重要なポイントがあります。カラギーナンは「カラギーナン」とそのまま表示される場合もありますが、「増粘多糖類」とまとめて記載されることも多いのです。増粘多糖類とはカラギーナンを含む複数の増粘剤をひとまとめにした表記であり、実際に何が入っているか成分表示だけでは特定できないこともあります。
✅ ラベルで確認すべき表記は以下のとおりです。
かゆみが気になる方は、まず冷蔵庫にある乳製品・アイス・ドレッシングの成分表示を見直すことから始めてみてください。
カラギーナンへの懸念を踏まえた上で、実際にかゆみを和らげるための行動を考えてみましょう。
まず前提として確認しておきたいのは、現時点でカラギーナンが日本の食品添加物として認可されており、通常の使用量での摂取は多くの機関が安全としていることです。ただし、腸に持病がある方、消化器系が弱い方、慢性的なかゆみやアレルギーを抱えている方については、過剰摂取を避けることが賢明です。
実践的な対策として、まず加工食品の摂取頻度を見直すことが挙げられます。カラギーナンは加工食品に集中して含まれているため、手作り料理の比率を増やすだけで自然と摂取量を減らせます。ゼリーやプリンなどは寒天や板ゼラチンを使って自宅で作れば、カラギーナンを完全に回避できます。
腸内環境を整える観点からは、善玉菌を育てる食事も並行して意識することが大切です。ぬか漬けや味噌、納豆などの発酵食品、野菜や玄米などの食物繊維を豊富に含む食材を意識的に取り入れることで、腸管バリア機能を高め、かゆみへの抵抗力を上げることにつながります。
腸活が条件です。
かゆみが長期にわたって続く場合は、食品アレルギーの専門外来や消化器内科でアドバイスを受けることも重要です。「食品添加物アレルギー」の可能性もゼロではなく、医師による血液検査や除去食テストで原因が特定できることもあります。まずは「何を毎日食べているか」の記録をつけてみることが、症状の改善への近道になります。
横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック:アレルギーと腸内環境の関係、腸内フローラの改善策について医師監修で詳しく解説されています。
SOKUYAKU(医師監修):アトピー性皮膚炎と腸内環境の最新研究、腸内フローラが免疫に与える影響について解説されています。