

セラミドが配合されていれば何でもOKだと思っていると、ずっとかゆみが治まらないままです。
「セラミド」という言葉はよく聞くけれど、「セラミドNG」という表記を見てもピンと来ない、という方は少なくありません。実は、セラミドは1種類ではなく、ヒトの皮膚の中には300種類以上の分子が存在しています。その中で化粧品成分として特に注目されているのが、NP・AP・EOP・NG・NSという5つの代表的な種類です。
セラミドNGは、ヒト型セラミドに分類される成分で、化粧品の成分表示では「セラミドNG」とアルファベットがついた形で記載されています。主な働きは、角質層内での水分保持力の強化とバリア機能の補修です。
肌の角質層は「レンガとセメント」の構造に例えられます。レンガが角質細胞、セメントの役割を担うのがセラミドを主成分とする細胞間脂質です。この細胞間脂質の約50%をセラミドが占めており、水分の層と交互に重なり合う「ラメラ構造」を形成することで、肌の内側から水分が逃げるのを防いでいます。
セラミドNGが不足すると、このセメント部分に穴があいたような状態になります。水分がどんどん外に逃げ、外から刺激物も侵入しやすくなります。それがかゆみや赤みの直接的な原因になるということです。
つまり保湿の問題です。
| セラミドの種類 | 主な働き | 向いている肌悩み |
|---|---|---|
| セラミドNP | バリア機能を支える基盤 | 乾燥肌・敏感肌全般 |
| セラミドNG | 水分保持力の強化・バリア補修 | かゆみ・乾燥小じわ・しっとり感不足 |
| セラミドNS | 水分保持・肌のキメを整える | 肌荒れ・キメの乱れ |
| セラミドAP | ターンオーバー・弾力のサポート | エイジングケア・ハリ不足 |
| セラミドEOP | ラメラ構造の安定・バリア強化 | 外的刺激に弱い肌・ダメージ肌 |
セラミドNGは特にしっとり感と水分保持に優れており、「塗ってもすぐ乾く」「いつも何となくかゆい」という方には重要な成分と言えます。
皮膚科学の観点から参考にできる情報として、大垣皮膚科クリニックによる解説が詳しいです。アトピー性皮膚炎の患者の角層でセラミド量が減少していることが報告され、バリア機能との関連研究が進んでいることが示されています。
セラミドとは?効果・化粧水や美容液での使い方(皮膚科医解説)|大垣皮膚科クリニック
「なぜ乾燥するとかゆくなるの?」という疑問を持ったことはありますか?乾燥とかゆみの間には、セラミドを介した明確なメカニズムがあります。
角質層のセラミドが減少すると、水分が外へ逃げやすくなるだけでなく、外部からの刺激物が肌の内側に侵入しやすくなります。花粉・ダニのフン・洗剤の残留成分といったごく微細な物質でも、バリアが弱い肌では奥まで入り込んでしまいます。そこで免疫が反応し、炎症とかゆみが発生するというのが基本的な仕組みです。
特に見落とされがちなのは、「かいた後の悪循環」です。かゆくてかくと、爪が角質層のセラミドを物理的に削り取ってしまいます。するとバリアがさらに弱まり、また刺激が入りやすくなる。かゆみ→かく→バリア悪化→またかゆみ、という悪循環が繰り返されます。
厄介なループですね。
アトピー性皮膚炎の患者さんの肌を調査した研究では、健常者と比べてセラミドの量が著しく低下していることが確認されています。また花王と大分大学の共同研究(2023年発表)では、特定の種類のセラミドが不足している敏感肌はアトピー性皮膚炎と類似したセラミドプロファイルを持つことが示されており、日常の「なんとなくかゆい」も見過ごせない状態と言えます。
セラミドNGはバリアの「補修」に特化した種類であるため、こうしたかゆみの根本にある機能低下に働きかける成分として注目されています。セラミドNGを含むヒト型セラミドを外から補うことで、角質層のラメラ構造が修復され、水分の蒸発が抑えられ、刺激が入りにくくなります。
もちろん、すでに炎症が強い場合は皮膚科での治療が最優先です。セラミドを含む保湿剤によるスキンケアは、治療と並行して行うケアとして位置付けるのが正しい考え方です。日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎診療ガイドラインでも、薬物治療と保湿ケアの両立が推奨されています。
セラミドが少ない!皮膚の病気「アトピー性皮膚炎」の原因は?|ナールス(セラミドとアトピー性皮膚炎の関係を詳細に解説)
「セラミドNG配合」と書かれた化粧品を選べば大丈夫、というわけでは実はありません。これは多くの方が見落としている重要な点です。
化粧品に配合されるセラミドには、大きく分けて4種類あります。
大切なのは見分け方です。
成分表示を確認する際、「セラミドNG」「セラミドNP」「セラミドAP」のように「セラミド+アルファベット」と書かれていれば、それはヒト型セラミドです。一方で「セラミド2」「セラミド3」のように数字で表記されているものは旧来の表示であり、また「グルコシルセラミド」や「スフィンゴ糖脂質」は植物性セラミドに相当します。
ヒト型セラミドは水にも油にも溶けにくいため、化粧品への配合が技術的に難しいという事情があります。そのため大手メーカーの一部はコストの安い擬似セラミドを使用していることがあります。かゆみや乾燥が深刻な方ほど、成分表示の確認は健康上の意味を持ちます。
これは健康に直結します。
また、ヒト型セラミドが配合されていても、成分表示の順番(含有量が多い順に表示される)でかなり後ろに出てくる場合は、実質的な配合量が非常に少ない可能性があります。「セラミドNG」が成分表の前半(上位10成分以内)に入っているかどうかも確認するのが理想です。
セラミドってどんな成分?期待できる効果や他の成分との併用について解説|日比谷スキンクリニック(ヒト型・植物性・擬似セラミドの違いを医療機関が解説)
「若い頃は乾燥肌じゃなかったのに、最近になって肌がかゆい」という悩みを持つ方が増えています。これは気のせいではなく、年齢によるセラミドの確実な減少が原因です。
研究データによれば、40代になると肌内のセラミド量は20代と比べて約半分に減少するとされています。さらに50代では、その減少がより顕著になります。セラミドが半分になるということは、角質層のラメラ構造も崩れやすくなり、水分を保持する力が大幅に落ちるということです。東京ドーム1個分の面積に例えるなら、若い頃は全面に敷き詰められていたセメントが、40代では半分しか残っていないイメージです。
半分では守れません。
加齢によるセラミド減少に加え、過度な洗顔・紫外線・睡眠不足・ストレスなどもセラミドを消耗させる要因として知られています。特に長期間のマスク使用や洗いすぎは、摩擦によって角質層のセラミドを剥ぎ取ってしまうため注意が必要です。
更年期世代の女性は、女性ホルモン(エストロゲン)の減少も重なるため、セラミドの減少がさらに加速します。エストロゲンはセラミド合成にも関わっているため、ホルモンバランスの変化が肌のかゆみや乾燥に直結することがあります。
こうした背景を考えると、40代以降にセラミドNGを含むヒト型セラミドを外から積極的に補うことは、かゆみ対策の基本として非常に合理的です。「ヒアルロン酸を塗っているのに乾く」という方は、水分を保持するセメント(セラミド)そのものが不足しているケースが多く、セラミドNGを含むアイテムを取り入れることで改善する場合があります。
年齢によってセラミドが減っていくことを頭に入れたうえで、スキンケアを見直すことが重要です。特に冬場や季節の変わり目は、セラミドの消耗が加速しやすい時期です。
40代でセラミドは半減する?「化粧水を塗ってもすぐ乾く」原因とは|merce(40代以降のセラミド減少と対策を詳しく解説)
セラミドNGを含む製品を選んでも、使い方が間違っていると効果が半減します。正しいスキンケアの手順と選び方のポイントを整理します。
スキンケアの基本手順:
製品を選ぶ際のチェックリストとして、以下が参考になります。
選び方が大切です。
市販で入手しやすいセラミドNG配合アイテムとしては、キュレル(花王)シリーズがよく知られています。セラミド機能成分を配合し、乾燥性敏感肌向けに処方されており、ドラッグストアで手軽に購入できます。また、ロート製薬の「ケアセラ」は天然型セラミドを8種類配合し、保湿力と安全性のバランスが評価されています。
より高濃度のヒト型セラミドを求める場合は、医療機関や専門ブランドのアイテムが候補になります。ただし、敏感肌やアトピー傾向がある方は、はじめてのアイテムを使う前にパッチテストを行うことを忘れずに。新しい成分を肘の内側などに少量塗り、24〜48時間反応がないことを確認してから顔や身体に使う、という手順が安心です。
セラミドNGを含むアイテムを継続して使用し、同時に生活習慣(十分な睡眠・バランスのよい食事・過度な洗いすぎを避ける)を整えることで、かゆみや乾燥の改善が期待できます。もし2〜4週間使用しても改善が見られない場合や、症状が強い場合は、自己判断せずに皮膚科を受診することをおすすめします。
セラミドとは?顔や体の肌の保湿に効果的な化粧品の選び方を簡単解説|小林製薬(セラミドの種類と選び方・かゆみとの関係を詳しく解説)