ヒルドイドの副作用は?
「ヒルドイドって、肝臓とか腎臓に副作用あるよね」
という話を、ネットで見ました。
えっ、本当?
調べてみました。
ヒルドイドって何?
ヒルドイド(マルホ製)は、病院で処方される医薬品扱いの軟膏です。皮膚の乾燥を防ぎます。ヒルドイドは別名、ヘパリン類似物質とも呼ばれています。
ヤケドやケロイド、皮脂欠乏症などを治療するために使われる塗り薬です。薬局で気軽に買えません。医師の処方箋が必要です。
もう少し詳しく言うと、皮膚の炎症を抑え、血行を促進し、保湿する薬です。
ドラッグストアでは、ヒルドイドのジェネリックが「ピアソンHP」という名前で販売されています。
※他にもビーソフテンというジェネリックがあります。
子供に使えるほど、副作用が少ないとされています。
ヒルドイドの副作用は?
こちら、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構の情報。
総投与症例2471例中、23例(0.93%)に副作用が認められ、主なものは皮膚炎9件(0.36%)、そう痒8件(0.32%)、発赤5件(0.20%)、発疹4件(0.16%)、潮紅3件(0.12%)等であった。
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/3339950N1035_1_01/
副作用は1%以下(0.93%)で、比較的副作用が起こりにくい薬と言えるでしょう。
ただし、血管拡張作用と血液凝固抑制作用があるため、赤みが増したり、出血が止まりにくくなるケースがあります。
なので、医師の指導のもとで使うことが決められているんですね。
実はこのヒルドイド、ちょっとした騒ぎになっていて間違った情報がネット上に出回っているようです。
美容目的でヒルドイドを使う人が多発
顔に塗ると3万円の高級クリームなみのアンチエイジング効果!
などとネットで話題になり、ヒルドイドを美容目的で使う人が増えています。
その金額、推定年間93億円の医療費がかかっています。
「もう、ヒルドイドの保険適用やめようか…」って健康保険組合が言い出すほど、ヒドイのだとか。
ところが、日テレの特集によると「ヒルドイドの美容効果はない」のだそう。
よしき皮膚科クリニック銀座の 吉木院長が断言していました。
また、赤みが増す、出血が止まりにくくなるなどの副作用のほうが心配です。国の財政はともかく、副作用を避けるためにも、美容目的で使うのはやめたほうが良いでしょう。
ヒルドイドのパラベンは問題ない?
実はこのヒルドイド、パラベンが入ってます。
ジェネリックのピアソンHPも、パラベン入りです。
具体的には、添加物のパラオキシ安息香酸メチル,パラオキシ安息香酸プロピルという物質がパラベンにあたります。
「医療品だから安全だと思ったら、パラベンが入ってるっ・・・!?」
と驚く方も多いのだとか。
肌の乾燥をなんとかしたい、だけどパラベン入りはイヤというあなたは、こちらが良いかも。
当サイト管理人が愛用しているクリームです。
コスパは悪いと思うのですが、今やもう手放せなくなっています。
よろしければ、参考になさってください。使い勝手などまとめました。
ヒルドイドの効果と副作用について
ヒルドイドの主成分と作用メカニズム
ヒルドイドは、豚の軟骨から抽出されたヘパリン類似物質を0.3%含有した医療用医薬品です。ヘパリン類似物質は、血液をサラサラにする作用がある「ヘパリン」に似た化学構造を持っています。この成分には以下のような作用があります。
- 保湿効果:高い吸水性と保水性を持ち、皮膚の水分を保持します
- 血行促進作用:血流を改善し、栄養素や酸素の供給を促進します
- 抗炎症作用:炎症を抑制し、皮膚トラブルを軽減します
ヒルドイドの最も特筆すべき効果は保湿効果です。他の保湿剤と比較しても、角層水分量の回復率が高いことが研究で示されています。また、動物実験では肌のバリア機能を修復する作用も確認されています。
ヒルドイドは単に水分を補給するだけでなく、皮膚を覆うことで水分の蒸発を防ぎ、長時間保湿状態を維持します。これにより、乾燥による痒みや炎症を効果的に抑えることができるのです。
ヒルドイドの種類と使い分け方
ヒルドイドには4つの剤形があり、それぞれ特徴が異なります。症状や使用部位、季節によって使い分けることで、より効果的に使用できます。
1. ヒルドイドクリーム0.3%
- 特徴:サラッとしたテクスチャーで伸びが良い
- 剤形:水中油型(水の中に油を閉じ込めた形状)
- 使用感:さっぱりとした使用感
- 適した使用シーン:夏場や脂性肌の方に適しています
2. ヒルドイドソフト軟膏0.3%
- 特徴:伸びの良さと保水力に優れている
- 剤形:油中水型(油分の中に水分を閉じ込めた形状)
- 使用感:しっとりとした使用感
- 適した使用シーン:冬場や乾燥が強い部位に適しています
3. ヒルドイドローション0.3%
- 特徴:乳液タイプで非常に塗りやすい
- 剤形:水中油型
- 使用感:さっぱりとしている
- 適した使用シーン:広範囲に塗る場合や顔、頭皮にも使用可能
4. ヒルドイドフォーム0.3%
- 特徴:泡で出てくるタイプで2018年に承認された最新タイプ
- 剤形:油分が含まれていない
- 使用感:べたつかずさっぱりとしている
- 適した使用シーン:ヒルドイド特有の匂いが少なく、乳幼児にも使いやすい
季節や好みに合わせて使い分けることで、より快適に使用できます。例えば、汗をかく夏場はサラッとしたローションやフォームタイプを使い、乾燥する冬場はしっとりとした軟膏タイプを選ぶといった工夫ができます。
使用感に不満がある場合は、医師に相談して別の剤形に変更することも検討してみましょう。
ヒルドイドの適応症と効果的な使用法
ヒルドイドは様々な皮膚疾患や症状に効果を発揮します。主な適応症と、それぞれの症状に対する効果的な使用法を解説します。
【主な適応症】
- 血栓性静脈炎(痔核を含む)
- 血行障害に基づく疼痛や炎症性疾患
- 凍瘡(しもやけ)
- 肥厚性瘢痕やケロイドの治療と予防
- 進行性指掌角皮症(手湿疹)
- 皮脂欠乏症
- 外傷後の腫れ、血腫、腱鞘炎、筋肉痛、関節炎
【効果的な使用法】
- 使用頻度:基本的には1日数回の塗布が推奨されていますが、症状や使用目的によって異なります。医師の指示に従いましょう。
- 適切な使用量:塗り薬の使用量の目安は1FTU(Finger Tip Unit)を基準とします。1FTUは約0.5gで、大人の手のひら約2枚分の面積に塗ることができる量です。
部位ごとの必要量。
- 顔や首:2.5FTU
- 胸や腹:7FTU
- 背中とお尻:7FTU
- 片腕:3FTU
- 片脚(太ももの付け根~足首):6FTU
- 片足(足首~つま先):2FTU
- 剤形ごとの1FTUの測り方。
- クリーム・ソフト軟膏(チューブタイプ):人差し指の先端から第一関節まで出した量
- クリーム・ソフト軟膏(瓶タイプ):人差し指の先端から第一関節の1/2までの長さをすくった量
- ローション:1円玉大
- フォーム:キャップの半量(キャップ1杯が2FTU)
- 塗布方法:清潔な手で、優しく円を描くように塗り広げます。塗布後の肌がテカッと光る程度が適量の目安です。
- 他の薬剤との併用:ヒルドイドと併用禁忌の塗り薬はありませんが、複数の薬剤を使用する場合は、医師に塗る順番を確認しましょう。
ヒルドイドは適切に使用することで、その効果を最大限に引き出すことができます。症状や使用部位に合わせた剤形選択と適切な使用量を守ることが重要です。
ヒルドイドの副作用とリスク管理
ヒルドイドは比較的安全性の高い医薬品ですが、すべての医薬品と同様に副作用のリスクがあります。副作用の発生率は低いものの、使用前にリスクを理解し、適切に管理することが重要です。
【主な副作用】
- 皮膚炎
- そう痒(かゆみ)
- 発赤、潮紅
- 発疹
- 過敏症
- 皮膚刺激感
- 紫斑
ヒルドイドの副作用発生率は製剤によって異なり、報告によるとヒルドイドクリームで0.93%、ヒルドイドソフト軟膏とヒルドイドローションでは0%(臨床試験での報告)とされています。
【リスク管理のポイント】
- 初回使用時の注意:初めて使用する際は、目立たない小さな範囲で試し、異常がないことを確認してから広範囲に使用しましょう。
- 副作用発現時の対応:かゆみや赤み、発疹などの症状が現れた場合は、すぐに使用を中止し、医師に相談してください。
- 特定の疾患を持つ方の注意点:ヒルドイドには血行を促進する作用があるため、以下の方は使用に注意が必要です。
- 血小板減少症
- 血友病
- 紫斑病
- その他の出血性疾患を持つ方
- 血液凝固抑制剤を服用中の方
- 傷口への使用に関する注意:ヒルドイドは傷痕の治療に効果的ですが、開放性の傷口に使用すると出血を助長する恐れがあります。傷の炎症が治り、出血が見られなくなってから使用しましょう。
- 妊娠中の使用:妊娠中は治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用できます。必ず医師に相談してください。
- 酒さ(赤ら顔)の方の注意点:酒さの方がヒルドイドを使用すると、血行促進作用により症状が悪化する可能性があります。医師に相談の上、使用を検討してください。
ヒルドイドは適切に使用すれば安全性の高い医薬品ですが、自己判断での使用は避け、医師の指示に従って正しく使用することが重要です。
ヒルドイドと美容目的での使用に関する真実
近年、SNSなどでヒルドイドを美容目的で使用する情報が広まっていますが、医学的な観点からこの使用法について検証します。
【美容目的での使用に関する噂】
ヒルドイドについては、「美容に効果的」という噂がある一方で、「顔に使うと後悔する」「たるみの原因になる」といった否定的な情報も見られます。これらの情報の真偽を整理しましょう。
【医学的な事実】
- ヒルドイドの本来の目的:ヒルドイドは皮膚疾患の治療薬であり、美容目的での使用は適応外です。
- 保湿効果について:ヒルドイドにはヘパリン類似物質による保湿効果がありますが、薬剤として保湿効果が認められているわけではありません。
- たるみとの関連性:「ヒルドイドを使うとたるむ」という噂には医学的根拠はありません。適切に使用すれば、そのようなリスクはないと考えられています。
- 美容目的での使用リスク:美容目的で使用した場合、望んだ効果が得られない可能性が高く、副作用のリスクもあります。
【美容に関連する効果の可能性】
ヒルドイドの保湿効果や血行促進効果により、以下のような肌トラブルの改善に寄与する可能性はあります。
- 乾燥小じわの改善
- 肌のターンオーバー促進によるシミの改善
- 乾燥による過剰な皮脂分泌の抑制によるニキビ予防
しかし、これらはあくまで副次的な効果であり、ヒルドイドの主たる目的ではありません。
【医師の見解】
多くの皮膚科医は、美容目的でのヒルドイドの使用を推奨していません。その理由として。
- 医薬品の目的外使用となる
- 副作用のリスクがある
- 美容目的であれば、専用に開発された化粧品や医薬部外品の方が適している
美肌効果を求めるなら、自分の肌質や悩みに合った化粧品を選ぶか、美容皮膚科で適切なアドバイスを受けることをお勧めします。
ヒルドイドを安全に使用するための注意点
ヒルドイドを効果的かつ安全に使用するためには、いくつかの重要な注意点があります。これらを守ることで、副作用のリスクを最小限に抑え、最大限の効果を得ることができます。
【使用前の注意点】
- 医師の指示に従う:ヒルドイドは医療用医薬品です。必ず医師の処方と指示に従って使用しましょう。
- アレルギーチェック:初めて使用する場合は、腕の内側など目立たない場所で少量試し、24時間経過を観察しましょう。
- 持病や服用中の薬の確認:出血性疾患がある方や血液凝固抑制剤を服用中の方は、必ず医師に申し出てください。
【使用時の注意点】
- 清潔な使用・保管:使用前に手を洗い、患部も清潔にしてから塗布しましょう。
- 適正量を守る:過剰使用は効果を高めず、副作用のリスクを増加させる可能性があります。塗布後の肌がテカッと光る程度が適量です。
- 傷口を避ける:開放性の傷口には使用しないでください。傷の炎症が治まり、出血が見られなくなってから使用しましょう。
- 目や粘膜への接触を避ける:目や口、鼻の粘膜部分には使用しないでください。
【保管・取扱いの注意点】
- 火気厳禁:特にヒルドイドフォームは高圧ガス(LPG)を使用した可燃性の製品です。火の近くでの使用や保管は避けてください。
- 高温・直射日光を避ける:直射日光の当たる場所や40℃以上になる場所での使用・保管は避けましょう。
- 使用後のキャップ閉め:水分の蒸発を防ぐため、使用後は必ずキャップを閉めてください。
- 子供の手の届かない場所に保管:誤飲や誤用を防ぐため、子供の手の届かない場所に保管しましょう。
【使用中止すべき状況】
以下の症状が現れた場合は、すぐに使用を中止し、医師に相談してください。
- 皮膚の赤み
- かゆみ
- 発疹
- ひりひり感
- その他の異常
ヒルドイドは適切に使用すれば安全性の高い医薬品ですが、医薬品である以上、正しい使用法を守ることが重要です。不安な点があれば、遠慮なく医師や薬剤師に相談しましょう。